効率化と自主性尊重で聖地への切符を勝ち取る。韮山は今春以降、チームをバッテリー、内野、外野陣の3グループに分けて、効率的に練習を積んできた。武井淳監督(43)は部員の自主性を尊重し、全ての練習メニューを選手たちが話し合って決定している。東部屈指の進学校は23年ぶりの甲子園出場を果たし、全国制覇を目指す。

 韮山は3人のグループリーダーを中心に、月曜日のミーティングで1週間の練習メニューを選手たちが決めている。武井監督は狙いを話した。

 「効率化を図ると同時に、選手たちが野球への考えをふくらませるため、導入しました。失敗を恐れず、積極的にチャレンジすることが大事です」

 グラウンドを他の部と共用するため、平日の放課後はダイヤモンドと外野の一部しか使用できない。さらに練習時間は長くても3時間。グループがそれぞれ独立して練習を行うことで、ムダを減らし、量と質を確保している。ミーティングでは、週末の試合で出た課題を克服するための練習メニューが組まれる。外野手からの返球でミスが出たときは、ノックの本数を増やし、捕球から送球までの流れを徹底的に確認した。

 外野陣のリーダー大谷尚輝(3年)は「責任は重いですが、知恵を振り絞ってメニューを考えています」と話す。内野陣をまとめる東谷雅人(3年)は得意の守備を生かし、練習中も積極的にチームメートへアドバイスを送る。「得意分野を生かし、チーム力の底上げをしたいです。役割に誇りを持っています」。新たな試みにも選手たちは即座に対応した。指揮官は「真面目で、よく気が付く子が多いです。こちらの意図をくみ取り、行動してくれています」と目を細める。

 春夏通じて東部勢は1995年夏の同校以来、甲子園出場がない。「韮山は甲子園優勝経験もあります。もう1度、頂点を取りにいきたいです」と大谷。「考える野球」で、1950年センバツ以来、夏では初の全国優勝をもつかみ取る決意だった。【古地真隆】