ワールドカップ・ロシア大会開催中の今、父がプロサッカー選手だった球児が、甲子園を目指している。飛龍(静岡)の三浦ジェスヨロボ大楓(おさ)内野手(3年)。ナイジェリア人の父と、日本人の母を持つ右スラッガーだ。自身も中学まで野球とサッカーの二刀流でプレーした。父譲りの身体能力で、勝利につながる1発を狙う。

 飛龍の三浦ジは、日本で生まれ育った。180センチ、87キロ。高校通算15本塁打のパワーが期待される4番打者だ。

 「日本語しか話せないというと驚かれます(笑い)。長打を期待されているので、チャンスで打って、チームを勝たせたい。甲子園に行きたいです」

 今では高校球児の聖地を目指しているが、先に始めたのはサッカーだった。ナイジェリア人の父フランクリン・エーゲー・ジェスヨロボさん(50)は元プロサッカー選手。190センチ近い長身FWで、ユース年代では同国の代表選手だったという。だが、若くして引退し、20代前半で来日。三浦ジは、父の影響で3歳からボールを蹴り始めた。幼少期から体が大きく、父と同じFWとして活躍。小4から、姉の友人の影響で野球も始めた。

 当初、父からは野球をすることを反対されたという。選んだのは二刀流。中学時代は市川ボーイズに所属しながら、父と同じ草サッカーチームで競技を続行した。「次第に野球メインになりましたが、サッカーは今も大好きです」。今では、父も野球に理解を示し、大会の応援にも駆け付けてくれる。「うれしいです。寮生活になり、親の大切さを感じています」。

 W杯ロシア大会には、ナイジェリアも出場している。日本と一緒に決勝トーナメントまで進めば対戦もあり得るが、三浦ジは笑顔で言った。「そうなったら、父のナイジェリアを応援します」。開幕まで17日。「絶対に負けられない戦い」で、父譲りの決定力を見せる決意だ。【鈴木正章】

 ◆三浦(みうら)ジェスヨロボ大楓(おさ) 2000年(平12)8月9日、千葉・松戸市生まれ。3歳からサッカー、小4から野球を始める。中学では市川ボーイズに所属。愛称は「ジェス」「大楓」。右投げ右打ち。家族は両親、姉。血液型A。