<高校野球東東京大会:修徳7-2実践学園>◇20日◇5回戦◇神宮第二

 ベールに包まれたまま、実践学園のエース、小山直弥(3年)の「夏」が終わった。試合後、小山は球場の外で往来に1人背を向け、右腕を顔に押しつけるように涙をぬぐった。

 8強入りをかけた修徳戦に先発。初回こそ1死三塁を切り抜けたが、2回は制御が利かない。二塁打、死球、四球で無死満塁。8番の田畑康伸捕手(3年)の頭に、痛すぎる押し出し死球…。

 ここで交代を命じられた。2回途中、わずか33球。「調子は悪くなかった。直球を打たれて動揺した」。交代のタイミングには「自分の情けなさ。何も言えません」。沢里優監督(35)は「もともと制球のいい方じゃない。嫌な流れだったから」と話した。

 181センチ、79キロの右腕は、この夏の注目株だった。150キロ超の直球に期待が集まっていた。高校入学当時から直球の最速は「30キロ以上速くなった」。この3月の青森山田との練習試合で149キロをマークした。「メジャーのキンブレル(レッドソックス)やリンスカム(元ジャイアンツ)のフォームをまねたら速くなった」。この大会は温存が多く15日の3回戦(対雪谷、7回2/3、3失点)以来の登板。「今日は140キロくらいしか出てないと思う」。大台目撃は大学で、さらに「絶対行きたい」プロまでお預けとなる。【玉置肇】