ドタバタ劇も乗り越え、激闘を制した。小山台(東東京)が安田学園に延長10回の末に6-4で競り勝ち、4強入りを決めた。都立八時代の1949年の東京大会の準優勝以来、4強進出は69年ぶりの快挙。同点の8回1死、左翼ポール際への飛球を巡って、2度判定が覆ったが、メンタルトレーニングの成果で気持ちをリセット。エース戸谷直大投手(3年)が10回を熱投し、飯田光塁主将(3年)が決勝の3点適時二塁打を放った。

<判定変更解説>

 東京都高野連の桜井昭夫審判委員長(64)が試合後、8回1死の左翼ポール際への飛球の判定が2度覆った経緯を説明した。同氏によれば、最初に三塁塁審が「ファウル」と判定。小山台・福嶋正信監督(62)から「ポールを巻いてませんか?」と問い合わせを受け、4人の審判団で審議した。意見が分かれたが、最終的に球審が本塁打と判定。1度は判定が覆った。

 それに対し、「ファウルだと確信したので。納得できません」と安田学園・森泉弘監督(62)が再度の話し合いを求めた。2度目の審議には、一塁側ベンチ横で試合をチェックする控え審判も参加。左翼ポールがよく見え、打球を目で追える控え審判から「ファウルでは?」と指摘を受け、再々審議の結果、元通りのファウル判定が下された。

 桜井審判委員長 判断が二転しましたが、最終的に正しい判定に戻せたと思っています。ただ、間の手続きで不備があったことはおわびいたします。

 審議中、スタンドからは「リプレー検証はできないのか」と声が飛んだ。現状、同制度はプロ野球にのみ適用される。関係者によれば、高校野球の地方大会の全会場でのカメラ設置は難しく、決勝などが行われるメイン会場でも、プロ野球のようにリプレー検証が可能な台数を設置するのは困難な場合もあるという。

 基本的に高校野球で審判を務めるのは、仕事をしながら、野球界のために尽力する人たちである。人がするものだから、判断にも限界があるだろう。カメラ導入、審判員の増員など、現状での実現は難しいだろうが、アマチュア球界を支える審判を守るためにも、サポート態勢を強化することも求められる。