慶応(北神奈川)が、全員野球で春夏連続甲子園を決めた。準々決勝の弥栄戦以外すべて無失点コールド勝ちの桐光学園相手に春から成長した打力を発揮し、2本塁打を含む10安打7点。投げては生井-渡部のリレーで追い上げを退けた。

 センバツ敗戦後、下山悠介主将(3年)はOBに相談した。「全員でミーティングをした方がいい」とアドバイスをもらい、選手だけで話し合った。下山は「メンバー外の選手の意見を初めて聞いた。お互いを尊重し、理解し合うようになった」と意識が変わった。

 桐光学園には昨夏、今春と準々決勝で、東海大相模には昨秋決勝で敗れた。森林貴彦監督(45)は「この2チームを倒さなければ上に行けない」と意識を共有。奥村拓馬内野手(3年)の考えた「TKO(桐光学園と東海大相模をKOする)」を目標に、ベンチや部屋に貼って士気を高めた。

 日大高、桐蔭学園など強豪との厳しい試合を勝ち抜いた。上田誠前監督時代からの「エンジョイベースボール」の神髄だ。選手たちは勝敗度外視ではなく、苦しい試合で粘り強く勝つことが野球の楽しみだと知った。森林監督は「たくましくなった」と、マウンドで喜ぶ姿に涙した。【松熊洋介】

 ◆慶応 1858年(安政5)に創立の私立校。生徒数は2281人。野球部は1888年(明21)に創部し、部員数は106人(マネジャー2人)。甲子園は春9度、夏は18度目。主なOBは日本ハム白村明弘、広島加藤拓也ら。横浜市港北区日吉4丁目1番2号。古田幹校長。

◆Vへの足跡◆

2回戦6-1日大高

3回戦13-3生田

4回戦14-5秦野総合

準々決勝6-4桐蔭学園

準決勝7-4東海大相模

決勝7-5桐光学園