第100回全国高校野球選手権記念大会は、第4日の1回戦4試合が行われる予定で、昨年覇者の花咲徳栄(北埼玉)や九州勢3校が登場する。

 元球児による「レジェンド始球式」は浪商(大体大浪商)OBの牛島和彦氏が務める。ドカベンの愛称で親しまれた香川伸行氏(故人)とバッテリーを組み、1979年のセンバツ大会で準優勝、同年夏の甲子園(第61回大会)では8強入り。牛島氏は79年のドラフト1位で中日入りし、3度のセーブ王に輝くなど伝家の宝刀フォークボールを武器に活躍した。

 

<見どころ>

▽1回戦

【第1試合(8:00) 日南学園(宮崎)-丸亀城西(香川)】

 2年ぶり9度目の出場となった日南学園は、宮崎大会で初戦高城戦こそコールド勝ちしたものの、決勝までの残り4試合はいずれも3点差以内と接戦をものにしてきた。投手陣は5投手で5試合19失点で乗り切ったが、エース辰己が5試合に登板し24イニングで被安打23、12失点。変化球を駆使して打たせて取る粘り強い投球を聖地でも発揮できるか。

 チーム打率は3割4分4厘で、4割2分1厘の簑尾、4割4分4厘の門川、坂元ら4割打者がけん引する。決勝の日章学園戦では坂元、門川の本塁打が飛び出すなど長短17安打で11得点を奪った。2016年の夏の甲子園では2勝したが3回戦で敗退。2001年(第83回大会)、当時の甲子園最速となる154キロを計測した寺原隼人投手(現ソフトバンク)を擁しベスト8が夏最高。今夏はどこまで勝ち進めるか。

 13年ぶり5度目の出場となる丸亀城西が、夏の甲子園で初勝利を目指す。80年のセンバツで4強入りして以降、春4回(81年、82年、84年、87年=いずれも旧丸亀商時代)、夏2回(97年、05年)甲子園に出場しているが6連敗中。連敗を止められるか。昨夏は香川大会準優勝で甲子園へあと1歩だったが、悔しさを知るベンチ入りメンバーが5人以上残り、経験も豊富だ。香川大会5試合で42得点(1試合平均8・4得点)と長短つながる打線は、打率5割2分9厘の福田主将、5割打者の3番藤田、4割7分8厘の3拍子そろった1番水野がけん引役となる。投手陣は大前、真鍋の継投で勝ち上がってきた。香川大会でストッパー的な役割が多かった大前は5試合に登板し24回3分の1を投げ2失点、21奪三振と安定感が光る。

◆日南学園のおもなOB ソフトバンク寺原隼人、広島中崎翔太

◆丸亀城西のおもなOB 元中大陸上監督・西内文夫、元ヤクルト井原慎一朗

 

【第2試合(10:30) 金足農(秋田)-鹿児島実(鹿児島)】

 11年ぶり6度目の出場となる金足農は、最速150キロを誇るプロ注目右腕の吉田が絶対エース。1人で秋田大会も投げ抜き、5試合、43イニングを投げ7失点、イニング数を大きく上回る57奪三振は圧巻。決勝の明桜戦で完封11Kの快投を見せた吉田が、強豪・鹿児島実相手に奪三振ショーを見せるか。

 打者では、父天城(たかき)が同校コーチを務める、1番打者の菅原天空(たく)内野手にも注目。超イケメンで男ぶりもピカイチ。「天空」の名前は宮崎駿アニメ「天空の城ラピュタ」から「大きく伸びやかに羽ばたいてほしい」(天城さん)と命名された。秋田大会では打率2割9分4厘と不完全燃焼だったが、甲子園で大きく飛躍できるか。打率5割3分8厘の2番佐々木大夢主将と1、2番が得点力アップの鍵を握る。

 創部100年の節目に3年ぶり19度目の出場となる鹿児島実は、1996年のセンバツ大会で優勝経験があるものの、夏は4強入り(2度)が最高、投打まとまったチームでキャリアハイを目指す。チーム打率は3割6分2厘で打率5割超を誇る3番中島、4番西が打の中心的存在だ。西は決勝の鹿屋中央戦でも満塁本塁打を放ち勝利に大きく貢献した。

 投手陣はエース吉村を中心に鹿児島大会6試合で6失点、いずれの試合も2点以内に抑えており安定感は抜群だ。吉村は5試合で39イニングを投げ3失点、37奪三振と好投をみせており、甲子園でも金足農・吉田との投手戦になるかも知れない。

 同校OBの宮下正一監督は、高校時代に内之倉隆志(90年ダイエー・ドラフト2位、現ソフトバンク・ブルペン捕手)とともに90年(第72回大会)には甲子園で主将として8強に導いた。久保前監督(甲子園通算26勝)の薫陶を受けてきた指揮官が校訓「不屈不撓」の精神でNHK大河ドラマの「西郷どん」ブームに負けない活躍を見せる。

◆金足農のおもなOB ヤクルト石山泰稚、元中日小野和幸

◆鹿児島実のおもなOB 巨人杉内俊哉、ソフトバンク本多雄一

 

【第3試合(13:00) 大垣日大(岐阜)-東海大熊本星翔(熊本)】

 2年連続5度目の出場となる大垣日大が、2014年(第96回大会)以来4年ぶりの夏1勝を目指す。東邦時代を通じ、阪口慶三監督は指揮官として52度目の夏に春夏通じて32度目の甲子園出場(優勝1回)を決め、岐阜大会決勝後には男泣きした。勝てば、監督通算勝利数で38勝となり、歴代8位タイ(37勝)で並ぶ蔦文也氏(池田)を抜き単独8位となる。

 3番内藤、5番小野寺が高打率だが、チーム打率は3割1分8厘と高い数字ではない。しかし、犠打12、盗塁13と機動力を絡め手堅い「阪口野球」で1点を積み重ねていく。

 投手陣は6試合を3投手で乗り切った。昨夏の甲子園では天理に初戦敗退(0-6)したが、甲子園を経験した右腕の修行が岐阜大会で4試合に先発するなど6試合に登板。38回3分の2を投げ、被安打23、4失点と安定感が増した。決勝の大垣商戦でも1失点完投勝利を収めており、甲子園でも快投が期待される。

 35年ぶり2度目の出場となる東海大熊本星翔が、春夏通じて甲子園初勝利を目指す。強力打線がウリで、熊本大会6試合で71安打60得点(1試合平均10得点)。チーム打率は3割9分2厘で、打線の中心は打率5割7分9厘、9打点、3本塁打を誇る4番竹下だ。決勝の熊本工戦でも逆転本塁打で勝利に導いた。レギュラークラス9人で、4割以上が5人、3割5分以上が3人と上位下位ムラなく得点できる「火の国打線」だ。

 投手陣は4投手で熊本大会6試合計10失点。エース左腕の山下が中心的存在で、多彩な変化球が武器。同大会6試合に登板し38イニングを投げ、被安打32、9失点、与四死球6と制球力の良さが光る。

◆大垣日大のおもなOB 中日阿知羅拓馬、元阪神曽我部直樹

◆東海大熊本星翔のおもなOB 漫画家・尾田栄一郎、プロゴルファー上田桃子

 

【第4試合(15:30) 花咲徳栄(北埼玉)-鳴門(徳島)】

 4年連続6度目出場となる昨年王者の花咲徳栄が、史上7校目となる夏連覇に挑む。昨夏の優勝メンバーでエースで4番の野村が大黒柱。高校通算56本塁打を誇り、投げては185センチの長身から最速146キロの直球、スライダーで打者を仕留める。北埼玉大会では決勝の上尾戦でも4回以降二塁を踏ませず1失点完投の快投だった。計5試合に登板し31イニングを投げ、被安打20、6与四死球、4失点、30奪三振と球威、制球力ともに安定感のある投球が光った。

 打線も強力で2番杉本主将が打率5割6分3厘、5番羽佐田も同5割3分3厘とハイアベレージ。下位打線を打った田谷野、新井が、ともに打率4割超えと上位下位とスキがない。

 2年ぶり12度目の出場となる鳴門は、2013年(第95回大会)、2016年(第98回大会)に8強入り。今夏はレギュラークラスに1、2年生が多く若いチーム構成となった。

 投手陣は徳島大会4試合を4投手で乗り切り25失点。強力打線が投手陣をカバーした試合も多かったが、決勝の生光学園戦ではエース西野が意地を見せて2失点完投した。西野は全4試合に先発し、27回3分の1を投げ、被安打25、9与四死球、11失点。直球、変化球のコンビネーションで打たせて取る。

 打線はチーム打率3割5分2厘で、打率6割の4番三浦主将が中心的存在だ。徳島大会4試合で計39得点(1試合平均9・8点)で打ち合いになれば強い。初戦城南戦は14-13。準決勝富岡西戦は11-10と乱打戦をいずれもサヨナラで制すなど、競り合いに強さを発揮する。

◆花咲徳栄のおもなOB 広島高橋昂也、中日清水達也

◆鳴門のおもなOB 西武潮崎哲也2軍監督、元ヤクルト秦真司