御殿場西(東部4位)が、静岡(中部5位)を9-3で破り、26年ぶり4度目の東海大会(10月20日開幕、三重)出場を決めた。3番の新井七輝主将(2年)が6打数5安打。森下知幸監督(57)が、選手に「目指すべきチーム」として伝えた静岡に快勝した。決勝と3位決定戦は29日、草薙球場で行われる。

5回表2死一、二塁、左前適時打を放った御殿場西の新井は、一塁上から両手人さし指をベンチに向けた。仲間たちもそれをまねた。離れてはいるが、意識では指を合わせている。映画「E.T.」の名シーンをまねたポーズだ。7-0とリードを広げたこの場面で新井が繰り出し、よりムードは高まった。

新井は1回の第1打席で見逃し三振を喫するも、第2打席以降は5安打を放った。要因は「守備」だ。2回裏、一、二塁間の打球を好捕し、アウトにした。「捕手が外角のサインを出したのを見て、位置を一塁寄りに移したので捕れました」。ベンチからの「ナイス」の声に気を良くし、打席でもノリノリになった。

3回表の6点にも新井が貢献した。2番阿佐野風内野手(2年)の右前打に続き、左前打を放った。静岡のエース斉藤颯斗(2年)を焦らせ、4番内海壮太内野手(1年)が先制適時打、2つの四球押し出し、失策からの加点につなげた。

静岡からの大勝。森下監督は「経験のないチームが静高に勝って東海大会出場を決めたことは大きい。静高にひるまずに押していけたことが良かった」と言った。今春、指揮官は練習試合で静岡の洗練された野球を見て、選手たちに「こういうチームになろう」と言い、この日は「目指してきたチームと戦う。正々堂々とやろう」と伝えた。鼓舞された選手たちは、試合を存分に楽しみ、新井は「勝つ楽しさを覚えてきました」と言った。

決勝で清水桜が丘に勝てば、東部勢では05年の富士宮西以来13年ぶりの県制覇。次に目指すのは、その栄光だ。【河合萌彦】