第91回選抜高校野球大会(3月23日開幕、甲子園)の選考委員会が25日に大阪市内で開かれ、智弁和歌山が選出された。

智弁和歌山・中谷仁監督(39)が、甲子園に再デビューする。深紅の大優勝旗を手にした18歳の夏から、智弁和歌山のユニホームでは22年ぶりのベンチ入り。1997年夏の優勝キャプテンは、プロ3球団を経験し、母校のコーチを経て、全国最多勝監督、高嶋仁監督(72)の後継者に。昨秋近畿4強の実績をつかみ、甲子園に戻って来た。

「優勝を狙います。センバツの目標としたら優勝。それだけです」

昨年のチームがあと1勝で逃した大旗を、ひたすら目指す。

昨年8月に監督に就任し、選手1人1人に野球ノートをつけさせることを始めた。練習開始前の熟読が、中谷監督の日課になった。コーチに就任したときから「年の離れたキャプテン」を自認してきた。年の離れた後輩たちが何を考え、何を疑問に思って野球に打ち込んでいるのか? それを文面から読み取る。びっしり書き込まれたページがあり、驚き、喜びながら文字を追う。

阪神時代の不幸な左目の負傷もあり、グラウンドで思うような結果は出せなかったが、周囲の意図をくめる人間であったからこそ、楽天時代に野村克也、星野仙一、巨人時代に原辰徳と、名だたる指揮官に重宝された。現役引退後、監督として母校に戻る幸運に恵まれた。自分で考え、成長できる選手を育てていきたい-、後輩たちにとって、この春の甲子園がそういう場所になれば-。吾妻純平捕手(2年)、黒川史陽(ふみや=2年)、西川晋太郎(2年)の二遊間コンビは、4季連続の甲子園。胸をときめかせ、聖地のグラウンドに立つ。【堀まどか】