明桜(秋田1位)は右腕・佐々木湧生(ゆう、2年)が7安打2失点完投で鶴岡東(山形1位)を3-2で破り、優勝した87年以来32年ぶりの決勝進出を果たした。

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熱い男に変身した佐々木湧がエースにふさわしい投球を見せた。最後の打者を三振に仕留めると雄たけびを上げてガッツポーズ。平成で1度もなかった、秋田経法大付時代の昭和62年以来となる決勝進出を喜んだ。158球12奪三振の熱投に輿石重弘監督(55)も「背番号1の自覚を持って投げてくれたと思う」と合格点を与えた。

これまでは真面目な性格が災いしてきた。「打たれまいと思いすぎて、力が入り体が開くことが多かった」(輿石監督)と、まずは意識改革から始めた。春季大会を前に輿石監督から「もっと気持ちを出して強気でいけ」と言われ意識的に気合を出すようになり、弱気が解消されてきた。

秋田東中時代に秋田市の選抜「秋田クラブ」のエースとして全日本少年春季軟式大会で準優勝。全国の強豪から誘いもあったが地元で甲子園に行きたいと入学した。1年時から春季県大会でベンチ入りし、金足農と対戦した際には日本ハム吉田輝を間近で見て「このぐらいのボールの質までいくと打たれない」と体感。雪の積もる冬場も学校近くの一つ森公園内の砂利道や山道を10キロ近く走りこみ、スタミナ強化に努めた。

最速は昨年から7キロアップの139キロに。2月に就任した元DeNA監督の尾花高夫総監督兼投手コーチ(61)からは、主にフィールディングを学び総合力を高めてきた。「ここまで来たら優勝を目指さないと。決勝もピンチの時は行くつもりです」とエースの自覚たっぷりに言い切った。【野上伸悟】