東北6県のトップを切って、第101回全国高校野球選手権の秋田大会(7月10日開幕、こまちスタジアムほか)組み合わせ抽選会が20日、秋田市内で行われた。

7月11日の1回戦では、大曲農-大曲農高太田分校の「本校・分校」対決が実現。県南地区大会での対戦はあるが、夏の県大会では11年の1回戦以来8年ぶりとなった。今春の県大会を制した第1シード明桜は大館国際情報学院-秋田の勝者と対戦。昨秋県Vの秋田修英は由利と初戦屈指の好カードになった。昨夏に甲子園準優勝の金足農は雄物川との初戦を迎える。

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抽選会場が、どよめいた。大曲農高太田分校の猪本芽吹主将(3年)が「21番です」と番号を読み上げると、大曲農との1回戦対決が決まった。

入学式も、校長も、校歌も一緒。農業高校らしく豚汁などを食べながら交流を図るイベントも、両校の生徒が全員集結する。今大会は本校の1年生部員4人が分校に“助っ人”として参加することが決まっており、両主将は複雑な表情。ユニホームは本校は緑を基調とし、分校は黒基調と違うが、ブロック体の「DAINO」の文字は一緒だ。

大曲農は今春、昨秋県大会準優勝の横手を破って県大会出場。明桜には0-5で敗れたが、1勝して16強。岡田雄基主将(3年)は「やりづらさはあるけれど、やるからには全力で勝ちにいく。守備から流れを作って、走塁などで点を取る野球で上位に入りたい」。農業実習などでも鍛えた体で守備を強化し、63年準優勝に並ぶ快進撃に挑む。

対する太田分校は地区大会初戦で強豪の角館に1-11の5回コールド負け。猪本主将は「自分たちが出来ることを精いっぱい悔いなくやりきりたい。全力疾走、全力発声では負けていない」。自身は投手、内外野どこでも守り、「勝ちにいく」と意気込んだ。

夏は8年ぶりだが、直近では16年春の地区大会3回戦で本校が9-2と勝利。15年秋の地区大会2回戦では2-1で分校も勝利した経験もある。Bチームの練習試合などは合同で試合したこともある両校。どっちが勝っても兄弟の思いを背負って「ダイノウ旋風」を巻き起こす。【鎌田直秀】