京都大会2回戦で、洛南の山村真那監督(29)が就任5年目で公式戦初勝利を飾った。ソフトボールの選手経験を生かし、15年4月に京都初の女性監督に就任。自主性を重んじたチーム作りが実を結んだ。

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洛南が京都の高校野球史に新たな1ページを刻んだ。打線が先制、中押しと好調で試合の主導権を握った。8回にダメ押しとなる4点を挙げ、コールド勝ち。「めっちゃ、うれしかった」。山村監督の声がはずんだ。京都初の女性指揮官が就任5年目で公式戦初勝利を手にした。

小学6年から大学卒業までソフトボールのプレー経験があり、体育の非常勤講師で赴任した山城(京都)でコーチを務めた。洛南でもコーチになり、15年4月から監督に就任。現役時代は投手だったが、野球の投げ方の違いに戸惑うこともあった。「練習試合の相手監督やコーチに技術面を教えてもらった」。コツコツと地道に指導法を学んだ。「更衣室に入れないこと」と女性監督ならではの悩みも告白。

そんな中で信念があった。選手自身に練習メニューを考えさせるなど、自主性を重んじた。「社会に出たときに指示待ちではなく、率先して行動できる人になってほしい」と選手の将来を考える。コーチで同校野球部OBの向井鴻太さん(18)は「学校で問題を起こしたり、練習をサボったりしたこともあったが、見捨てずにいてくれた。(コーチになったのは)恩返しをしたいから」と話す。「優しいお姉さんという感じ。先生が優しくまとめてくれる」と選手の保護者の信頼も厚い。

試合前夜には自ら3年生部員にLINEでメッセージを送った。「勝利をプレゼントして欲しい」。3回に先制の適時二塁打を放った大野陽(ひなた)捕手(3年)は「こういうことを言われたのは初めて。勝ちたいという気持ちが一層高まった。勝ててすごいうれしい」と期待に応えた。試合後、山村監督が応援席を訪れると、OBや感激の涙を流す保護者がいた。「先生、おめでとう!」。大きな拍手が女性指揮官に送られた。【南谷竜則】

◆山村真那(やまむら・まな)1990年(平2)3月2日、京都市生まれ。翔鸞小6年からソフトボールを始め、衣笠中、嵯峨野高(京都)、神戸親和女子大とソフトボール部。卒業後、2年間山城に勤務し、14年から洛南へ。15年4月に同校の硬式野球部監督に就任した。165センチ。右投げ右打ち。体育科教諭。