早稲田摂陵は善戦およばず大阪桐蔭に屈した。

4点を先制された直後の4回、相手ミスで作ったチャンスで一気に4得点して追いついた。荻根沢(おぎねざわ)司投手(3年)の右越え2点打、内村賢人内野手(3年)の右中間2点二塁打と、相手左腕の甘い球を力強くとらえた。

主将で4番を打つ肥田尚弥外野手(3年)と荻根沢は枚方ボーイズ(大阪)出身で、相手の副主将、宮本涼太内野手(3年)とはチームメートだった。試合後の整列で肥田は「このまま大阪を勝ち上がれよ」と伝え、宮本は「頑張るわ」と答えたという。

肥田は「最後は王者の意地を見せてもらいました。いい経験になりました。序盤はしっかり食らいついて100点だったけど、最終的に強力打線につかまってしまった。でも途中は点差が離れているとは感じなかったので、そこはよかった。3年間ずっとベンチ入りさせていただき、高校野球に後悔はありません」と爽やかに語った。

10年に共学になり、早大で阪神上本と同期だった神谷雄毅監督(34)のもと強化を続ける。スローガンは「限界突破」。昨秋、今春と1回戦負けで、今夏は公式戦初勝利を挙げた。1年通じて監督と意見交換し合い、選手からの要望を聞いて、バントも用いながらチャンスを作るスタイルに変更したという。

「3年生は自分たちで考えて動いていた。桐蔭のビデオも自分たちで見て、試合中にも『あの球は捨てよう』とか話し合っていた。チャンスは十分にあったけど、生かし切れず、ほんの少しのほころびから(6回に)5点取られてしまった。でも今まで(試合で)やったことのないサインプレーをしたり、変化球を投げたりして、3年生がすごく頼もしかったです」

王者と接戦を繰り広げた選手たちを、神谷監督は頼もしげに見つめていた。