鵬(おおとり)学園の浅井純哉監督(62)は選手の奮闘をねぎらった。

理想の展開だった。「うちがリードするのではなく、どこかでポンッとびっくりさせて、想定外の展開にしたいと思っていた」。

その通り、3点を追う7回に先頭から3連打。相手エースの奥川恭伸投手(3年)を引っ張りだし、奥川も打って一挙4得点で逆転に成功した。

だが打者・奥川に2本のアーチを打たれ、初の甲子園の夢を絶たれた。「奥川君の執念というか、大事な打席をきっちりとものにした。ファウルフライの落球のあとによく打ったなと」と勝負強さに脱帽した。

金沢で11度の甲子園出場経験があるベテラン監督。12年に鵬学園の監督になった。金沢時代から星稜としのぎを削ってきた。いつも特別な思いがある。

「(星稜は)今年のチームは全国で勝ち上がれる力がある。でも同じ石川県としては簡単には勝たせたくない。絶対に壁になってやろうと思った。そうしないと石川県のレベルが上がりませんから。少しは苦しんでくれたかな。向こうが想定していなかった展開になったんじゃないですか」。星稜にチャレンジャーの意地を刻む一戦だった。