相模原の3番手・四元勇成投手(3年)が、この夏初めてのアウトをとった。8回だ。2-9の無死一、三塁でマウンドに上った。最初の茂谷を見逃し三振にとると、ニコっと、ほほえんだ。

大観衆に囲まれての投球。度胸満点の四元は「応援されているんだなあって思いました。応援を聞くことで余裕を持ってマウンドに立てた。応援の人たちに感謝したいです。一生の思い出になると思います」と、初のアウトを振り返った。

1回戦の上矢部戦、4回戦の日大高戦。ともに先発したものの、打者3人に出塁を許して降板。それ以来の登板だった。

大会前のプランは、四元が4回を投げ、天池につなぐ、だった。日大高戦の前日は、監督から「明日の先発は誰にする」と仰天指令が出て、選手の総意で先発した。だが、失敗。四元も「継投が初戦で崩れてしまって。その悔しさを日大でぶつけようとしたのですが。天池が僕の後にいる、という気持ちで投げたのかな」と自身を責めた。だからこそ、この日は「今まで申し訳ないことをした。全力で抑えよう」と攻め込んだ。

入学時は捕手で、昨秋は4番左翼。冬から本格的に投手練習を行い、今春は一塁でレギュラーだった。マルチな男は、最後の猛攻に出番を得て、打者4人で3つのアウトを奪った。「いろんなポジションでできて、いい野球生活でした」と笑顔だった。