逆転の発想が、チームをよみがえらせた。夏は3度甲子園に導き、初のセンバツを確実にした白樺学園・戸出直樹監督(43)は「選手が粘り強く戦ってくれた」と目を細めた。準決勝で敗れた同じ十勝地区の帯広農・前田康晴監督(43)とは同学年で仲が良く「悔しそうな顔で『頑張ってください』と言われていた。勝てて、ほっとしている」と話した。

今夏、6年ぶりに北北海道大会進出を逃し「原因が分からなかったが、何か変えなきゃと思った」。22歳で母校監督に就任して以降「十勝に強力な打撃で勝てるチームをつくろう」と、20年以上続けた打撃重視の練習方針を思い切って変えた。7割を占めていた打撃を1割に減らし守備7割、走塁2割、打撃1割のメニューに組み替えた。

「投手も枚数がいたし、まず守備からと。打撃は時間が短くなり、みんな集中して臨めるようになった」。準々決勝はエース片山の完封で4-0と守り勝ち、準決勝、決勝は2ケタ安打で打ち勝った。逆境の中で思いついたアイデアが、快進撃の種となった。