高校野球の静岡県大会は、春に続いて夏も中止になった。日本高野連は20日、新型コロナウイルスの影響で、今夏の甲子園大会と、出場権を懸けた地方大会の中止を発表した。戦後初となる夏の静岡大会中止を受け、県高野連の渡辺才也理事長(49)は、県独自の代替大会開催を検討する意向を示した。春のセンバツ初出場が幻に終わった加藤学園の米山学監督(42)は選手たちを思い、無念さをにじませた。「父子鷹」で甲子園出場を目指していた静岡商の高田晋松監督(50)と高田琢登投手(3年)も、心の内を明かした。

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大きな目標を失った静岡商の高田だが、冷静な様子で話した。「甲子園の中止に関しては、やっぱりそうですか…という思いでした。自分が想像する甲子園は、大観衆の中で行われるもの。開催されるとしても、無観客という時点で覚悟はしていました」。

一方で、地方大会の中止については、驚きが大きいという。「地方大会はやると信じていた。このまま、公式戦を1試合もやらずに引退をするなんて考えられません」。代替大会開催の可能性が残されていることから「やってくれることを期待します。(開催可否を)県の高野連が発表するまで、信じ切りたい」と訴えた。

高田監督は、指導者であり父親でもあることから「それぞれの立場で考えが違うので、まとまりがつかない」と苦渋の表情。それでも、共通する意識として「3年生はかなりのショックを受けていると思うが、きっと乗り越えてくれると信じている。しっかりと見守っていきたい」と話した。

プロ入りへの意思が固い高田は、アピールの機会が限られた状況でも、その思いは捨てない。「今後、スカウトさんが練習を見に来てくれると聞いている。少ないチャンスですが、最大限のアピールをしたい」と、前を向いていた。【河合萌彦】

○…静岡商の高田監督によると、静岡高との練習試合を7月5日に草薙球場で予定しているという。毎年春に開催される両校の定期戦は、今月10日に行われるはずだったが、休校期間中のため中止に。3年生への花道の意味も込めて、計画された。観客席へ人を入れるかどうかなどは検討中だという。高田監督は「決勝戦のつもりで戦いたい」と気合を入れていた。