秋季高校野球北信越大会が10日から富山市民球場を主会場として開幕する。来春のセンバツ出場につながる重要な大会だ。日刊スポーツ新潟版では、連載で新潟代表3校の有力選手の横顔をご紹介。第1回は第3代表・関根学園の滝沢夏央(2年)。攻守のキーパーソンが初戦の新湊(富山2位)戦に挑む。

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164センチの滝沢の全身には、たっぷりと野球センスが詰まっている。遊撃手として、守備範囲の広さが身上。さらに、地肩が強く、スローイングの正確性も持ち合わせている。「粘り強く勝ちたい」という北信越大会でも「ヒット性の当たりをアウトにするのが自分の見せ場」と、チームを守備で鼓舞するつもりだ。安川攻塁監督(28)は「ピンチのときは、ショートにゴロが行ってくれと思う」と絶大な信頼を寄せている。

打撃ではクリーンアップの一角・3番を担う。小粒ながらもパワーが持ち味。ひと冬を越えてベンチプレスは、50キロから80キロに増えた。秋季県大会は6試合で22打数9安打、打率4割9厘をマーク。しかも、故障を抱えながら4割台の打率を残した。大会前に腰を痛め、大会期間中も上越市内の接骨院で酸素カプセルに入り、電気治療を施して試合に臨んでいた。だからこそ、万全になった北信越で大暴れを狙う。「故障は言い訳にならなかった。4割打っても、まだまだ…」と県大会の結果に満足していないのが、北信越への原動力だ。

滝沢は1年春に早くも背番号4、1年夏には6番を背負った。関根学園入学を志望したのも和田小5年と早かった。3人兄弟の末っ子だが、一番上の兄・拓人さん(23)が同校2年時に遊撃手で出場した14年夏の決勝をハードオフ新潟で観戦。日本文理に2-4で逆転サヨナラ負けした兄の悔しさを目の当たりにして「関根学園から甲子園」を決断した。北信越でそんな思いの実現をもくろむ。「センバツを狙って、まずは初戦」と新湊戦に全力を注ぐ。【涌井幹雄】

◆滝沢夏央(たきざわ・なつお)2003年(平15)8月13日、上越市出身。城西中。野球は保育園時代から三郷タイフーンで開始。中3で県のKボール選抜。高校では1年春から一桁背番号をつけた。投手としても非凡で、秋季県大会・第3代表決定戦で2回を投げて無安打、無失点。右投げ、左打ち。164センチ、63キロ。