仙台育英(宮城1位)が地元開催の同県対決に圧勝し2年連続11度目、創部90年で初の秋東北連覇を飾った。

県1位校を3連破して勝ち上がった柴田(宮城3位)を18-1で下し、秋決勝では史上最多得点をマーク。3回に5番秋山俊外野手(2年)が満塁弾を放ち、6回には4番吉野蓮内野手(2年)も満塁弾で続くなど、3本塁打を含む15安打と打線が爆発した。今春、今夏と2度の甲子園が幻に終わり、現チームは島貫丞(じょう)主将(2年)を中心に、3年生の思いも背負って戦った。来春センバツ(3月15日開幕、甲子園)出場が当確となり、悲願の「日本一」に挑む。

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先輩の思いを胸に、仙台育英の主軸2人がバットで応えた。1-0の3回無死満塁。秋山が内角直球を強振。右翼芝生席に軽々と運んだ。「3年生から『日本一』を託されたので、勝たないといけない」。言葉だけじゃなく、結果も残した。14-0の6回2死満塁では、吉野が左翼芝生席中段に満塁弾を突き刺した。「先輩には助けられてばかりだった。今度は自分が(チームを)引っ張っていきたい」と、4番の自覚がにじんだ。2人は下級生の時からメンバー入り。最終学年になって、責任感も人一倍強くなった。

頼れる新リーダーもいる。主将の島貫丞外野手(2年)だ。仲間からは絶大な信頼を置かれ、須江航監督(37)も「(島貫は)いつ、いかなる時でも、表裏がない。根っからのキャプテンシーを持っている」と評価。部員数は63人の大所帯。意見がぶつかり合うことも多々ある。島貫主将は「みんなの言葉を肯定しながら、自分も発信して、正解に導いていかなければいけない」。難問でも最適解を導き、チームを1つに結束させる。前主将の田中祥都内野手(3年)から送られたエールも励み。「『伝統校のキャプテンとして、感謝と責任を持ってやってほしい』と言ってもらった。日本一になって、最高の結果報告がしたい」と意気込んだ。

熾烈(しれつ)なレギュラー争いが始まる。今大会で一区切りとし、来春センバツのメンバー選考を兼ねた練習試合、紅白戦でスケジュールが埋まる。須江監督は「メンバーになる扉は、いつでも開いている。東北大会のメンバーから、10人ぐらい入れ替わってほしいですね」と期待。甲子園は春1度、夏は2度決勝で涙をのんだ。スケールアップして、悲願の優勝旗をつかみ取る。【佐藤究】

◆秋季東北大会決勝の最多得点 仙台育英は18-1で快勝。18得点、得点差17とも同決勝の最多記録を更新。これまでの記録は得点が77年の東北(宮城)○16-1●弘前実(青森)、88年の仙台育英○16-0●秋田での16が最多で、得点差は同88年の16。