高崎健康福祉大高崎(群馬)が2年連続2度目の優勝を果たした。

今シーズン最後の公式戦を締めくくったのは、準決勝で5本も記録し、このチームの代名詞となった「本塁打」だった。

7-7で迎えた延長11回表、高崎健康福祉大高崎の先頭打者・堀江晃生外野手(2年)が「これが、今シーズン最後の打席だと思って、悔いが残らないよう全力でフルスイングした」と常総学院のエース秋本璃空投手(2年)の5球目、低めの真っすぐを捉え、2試合連続となる勝ち越しの右越えソロ本塁打。2死の後、小沢周平内野手(2年)もスライダーを右越えに運ぶソロ本塁打で続いた。今年の高崎健康福祉大高崎を象徴する本塁打で決勝戦を締めくくった。

本塁打の原動力は、一緒に涙したチームメートの存在だった。本塁打が多い今年のチームも、選手たちは「チームバッティング」と口をそろえる。その意識が芽生えたのは、小沢の存在だった。今冬、自分勝手な練習態度を赤堀佳敬コーチに叱責(しっせき)された。小沢は「当時は自分のことしか考えられなかった」と振り返る。苦しむ小沢を見て、チームメートが手を差し伸べた。相手の気持ちになり苦しみを共有し、一緒に涙した。お互いを思いやる心が芽生え、チームバッティングに磨きをかけた。「チームのために打とうと考えることで、力になるんです」と小沢。本塁打はチームのための1本。全員の思いが関東王者へと導いた。

2年生の高校通算本塁打の合計は、206本と記録を伸ばした。小沢は「数は自信につながる。今度は、スタメン300本打線を目指します」と力強く宣言した。

「機動破壊」が代名詞のチームに、新たに加わった打撃。青柳博文監督は「1つの塁を走塁で取り1点を奪うのは大切なことですが。打撃でビックイニングを作ることもひとつの戦い方」と新たな高崎健康福祉大高崎野球で勝ち取った優勝に、手応えを感じていた。

関東大会が始まる前「今シーズンの完全燃焼」をチームの目標に掲げた。優勝で完全燃焼を果たしたチームが、次に目指すは全国制覇だ。【保坂淑子】