岩手県高野連は9日、盛岡市内で理事会を開き、来春のセンバツ高校野球(3月19日開幕、甲子園)21世紀枠の同県推薦校に、花巻農を初選出した。

花巻農は「花農(ハナノウ)」の愛称で親しまれ、創立114年を誇る伝統校。稗貫農学校時代には、童話作家の宮沢賢治が1921年(大10)12月から4年4カ月間、教壇に立ったことでも知られる。今秋は県4強入り。3位決定戦は東北大会4強の花巻東に0-5で敗れたが、7回まで0-1と食い下がった。

学校生活では、生徒が育てた農産物や食料品を町内会で定期的に販売。また東日本大震災で被災した自治体へ、授業で身につけたノウハウを生かした門松などを寄贈。地元のJR花巻空港駅では、乗降客を対象とした朝のあいさつ運動を10年以上続けており、地域貢献にも力を入れている。理事会に出席した佐々木貴大部長(32)は「野球部も地域活動に率先して、取り組んでいる。これからも、推薦校の名に恥じないように、学校生活や部活動に励みます」と言葉に力を込めた。センバツ21世紀枠に選出されれば、夏も含めて初の甲子園出場となる。

同理事会では、来年の大会運営についても話し合われた。原則として有観客を検討し、春と秋の両大会については、大会簡素化および移動、経費等を踏まえて、開会式の廃止が決定。夏の岩手大会(来年7月7日開幕予定、岩手県営野球場)の開会式は行う予定。また来年度から、沿岸南支部と沿岸北支部を統合する。少子化の影響などで高校野球人口が減少しており、同北支部では加盟校が4校。今秋は出場数が3チームだけだった。

また、毎年の入場者数が減少しており、県高野連の財源確保が急務。22年度からは、一般500円の入場料を600円に、65歳以上のシニアフリーパス500円を1000円に値上げすることを検討している。

全国学生野球協会表彰推薦優秀選手には、県から専大北上軟式野球部の沢田悠主将(3年)が推薦された。昨秋は台風19号の影響で軟式東北大会が中止。今年はコロナ禍に全国大会が軒並み消えた。そんな状況下でも、専大北上は今夏の県独自大会と夏季東北大会で優勝。その功績が選出につながった。【佐藤究】