敗れたエースは、口を真一文字に結んで悔しさをかみ殺していた。関東第一・市川祐投手(2年)は「2回は連打で失点しました。直球を狙われたのに修正できませんでした。その後は変化球も交ぜて修正できたけど、終盤にランナーを背負ってから自分の投球ができませんでした」と敗因を語った。

2回に5連打を浴び、3点を失った。3回以降は緩急も使って、7回まで5イニング連続3者凡退。味方打線の同点も呼んだ。それだけに、8回1死の四球から失った3点が悔やまれた。

「1年の時は、1つ、2つ上の先輩に連れて行ってもらった甲子園でした」と振り返る。昨夏、憧れのマウンドに立った。準々決勝の履正社(大阪)戦。点差をつけられた8回のマウンドに上がり、打者3人で締めた。「甲子園ベスト8で、優勝する履正社を1イニングだけでも抑えられた。自信になりました」。貴重な経験を仲間に伝えてきた。「甲子園は雰囲気が違う。大勢の観客の前でプレーするのは緊張する。いつも通りやるには、メンタルが大事」。

自分たちの力で、また甲子園に-。来春センバツは絶望的となった。残るチャンスは来夏1回だけ。「この大会で、9回を投げる体力がないと感じました。球威、質が落ちてしまう。体力を強化していきたい」と、目標達成に欠かせないオフのテーマを掲げた。