社会人野球で鍛え直しプロ入りにつなげる。昨秋の明治神宮大会4強右腕で、今夏の甲子園交流試合に出場した白樺学園エース片山楽生(らいく、3年)が4日、都市対抗で準優勝した強豪NTT東日本に内定した。

高校からのプロ入りを目指し志望届提出も、10月のドラフトは指名漏れ。日本ハム5位指名の苫小牧中央・根本悠楓(17)を追いかけ、新天地で3年後の上位指名を目指す。

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片山が社会人で自身の価値を上げ、プロへの階段を駆けのぼる。17年都市対抗王者で、今年も3日の決勝で敗れたが準優勝の強豪NTT東日本入りが内定した。「非常にいい会社に入れてもらえた。高卒新人は自分1人。1、2年目で土台をつくってレベルアップし3年後、ドラフト上位で呼ばれるような選手になりたい」と前を見据えた。

昨秋は、明治神宮大会で4強に入るなど結果を出し、プロの注目を浴びるようになった。春先に最速148キロをマークも、それ以降は思うような成果を出せなかった。今夏の北北海道大会は初戦でクラークに敗退。8月の甲子園交流試合の山梨学院戦も先発し5回4安打2失点と、不完全燃焼に終わった。ドラフト当日は複雑な心境で中継を見つめていた。「厳しいと分かっていたが、順位が下がるうちに、もしかしたら呼ばれるのかなという期待も出てきて。終わってみたら指名漏れ。本当に悔しかった」と振り返った。

ドラフト直後、1人の左腕にメールを入れた。日本ハム5位指名を受けた根本だった。互いに左右の好投手として道内で注目されていたが、対決したことも話したこともなかった。インスタグラムをフォローしあっていた縁で、すぐに「おめでとう」と祝福のメールを送った。初めての送信だったが根本からも「君のことは僕も知っていたよ」と返事が届いた。短いメッセージで心を通わせ、片山は「今は僕が追い掛けていく立場」と気を引き締めた。

手が届かなかった夢の舞台。「プロに入ることより、プロで長く活躍することが大事。今の自分が指名されても2、3年で戦力外になって終わりだよと、神様が導いてくれたと思っている」。悔しい思いを糧に、夢のステージに立つにふさわしい力を身に付けていく。【永野高輔】

◆片山楽生(かたやま・らいく)2002年(平14)10月7日、音更町生まれ。音更柳町小2年から柳町イーグルスで野球を始める。音更共栄中では3年夏の全日本少年軟式大会4強。白樺学園では1年秋からベンチ入り。2年秋からエースで4番を務め、昨秋の全道大会優勝、明治神宮大会4強。好きな投手は西武松本航。好きな言葉は「熱く冷静に」。遠投110メートル、50メートル走6秒5。最速148キロで、変化球は縦横のスライダー、チェンジアップ、カーブ、カットボールなど。178センチ、81キロ。家族は両親と妹。右投げ左打ち。