第93回選抜高校野球大会(3月19日から13日間・甲子園)の選考委員会が29日、初めてオンラインで開催される。出場32校は午後3時半に21世紀枠から順次発表される。21世紀枠の東北代表に選ばれた八戸西(青森)は昨秋の東北大会で準優勝し、春夏通じて初出場が有力視される柴田(宮城)と同様に、初甲子園の春便りを期待した。

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「こんにちは-」。八戸西ナインは白い息を吐きながら、元気な声であいさつした。この日のグラウンド上は、気温マイナス1度。センバツ発表を翌日に控えても、選手たちの様子はいつも通りだった。トレーニング施設でのウエートトレーニングを終えると、約1時間の自主練習。長靴に履き替えて、残雪のグラウンドでキャッチボール、ティー打撃で汗を流す選手もいた。宮崎一綺主将(2年)は「選手1人1人が良い練習をできている。緊張感もあるけれど、楽しみに待ちたい」と期待に胸を膨らませた。

昨秋は県準優勝で東北大会に初出場。初戦の福島商に10-3の7回コールド勝ちで8強入り。準々決勝で花巻東(岩手)に1-2と善戦するなど、実力は証明済みだ。今冬はセンバツを見据え、例年以上に雪の積もったグラウンド、室内練習場でバットを振り込んだ。宮崎主将は「フィジカル、打撃のレベルが上がった」。チームの仕上がりは順調にきている。

センバツ“祝報祈願”も抜かりない。チーム始動日の3日、野球部全員で八戸市内の蕪嶋(かぶしま)神社を参拝した。「カブ(株)が上がる」と人気のパワースポット。国立公園内の風光明媚(めいび)な種差海岸を望みながら、宮崎主将は「センバツ出場に力を貸して下さい」と神頼みした。今月中旬には、JR八戸駅を中心に除雪作業で地域貢献。降り積もった雪をかき分け、通行できるように整備した。小川貴史監督(37=写真は東北題字)は「いつも練習で大声を出して迷惑をかけている。少しは恩返ししないと」と感謝の気持ちを忘れない。

運命の発表は午後3時30分過ぎ。小川監督は「やることはやったので、結果がどうであれ楽しみ」と穏やかな笑みを浮かべた。夏は2度の青森大会準優勝で1歩届かず。県勢初の21世紀枠出場で、雪国に「春」を届ける。【佐藤究】