第93回選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)の選考委員会が29日、行われ、昨秋の北海道大会で優勝した北海が10年ぶり13度目のセンバツ切符をつかんだ。「創部120周年の古豪も、春夏1度ずつの準優勝が甲子園での最高成績。メモリアルイヤーで初の甲子園優勝を目標に掲げた。組み合わせ抽選は2月23日に行われる。21世紀枠候補の知内は選出されなかった。

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春の訪れを感じるにはまだ早い銀世界のグラウンドで、北海ナインは歓喜に酔いしれた。報道陣の要求に応えた写真撮影では雪まみれになりながら喜びを爆発させた。宮下朝陽主将(2年)は「伝統ある北海で120周年の節目にセンバツに出られるのはうれしい。素晴らしい結果を残せるように頑張りたい」。春は8強入りした11年以来10年ぶりの甲子園切符だ。

今年で120周年の北海野球部は春13度、夏38度の甲子園出場を積み上げた。コロナ禍で臨む51度目の聖地。97年10月から率いる平川敦監督(49)は「(選手たちに)どういった状況でも、やってもらいたいことは変わらない。自分たちの持っているものを一生懸命発揮できるように、はつらつとプレーしてもらいたい」。北国の宿命である冬場の厳しい環境でも結果を残し続けてきた古豪に、困難を言い訳にする気はない。

球春を迎える状況は依然として厳しい。春、夏の甲子園がなくなった昨年を同監督は「生徒の気持ちを思えばいろいろな気持ちも交錯する中での1年間の活動だった」。昨秋、全道を10年ぶりに制して以降は国内で新型コロナウイルスが再拡大。校内で感染者が出た影響で11月には野球部も約1カ月間、全体練習ができなかった。それでも“春”を信じてきた。左腕エース木村大成(2年)は「全国を意識した練習ができた。体づくりは8割ほどできている」。困難な状況に置かれ続けたナインの自覚は増している。

甲子園での最高成績は2度の準優勝。センバツで唯一決勝に進んだのは前回東京五輪が行われた前年の63年。メモリアルイヤーに掲げる目標は明確だ。宮下は「全国で1位になるチャンスが自分たちにはある。やるからには全国1位を目指して頑張りたい」。甲子園で主役を張り、紫紺の優勝旗を持ち帰る。【浅水友輝】

 

◆北海 1885年(明18)、北海英語学校として創立の私立校。48年に普通科の男子校として現校名に改称し、99年に男女共学化。野球部創部は1901年。生徒数は1279人(女子637人)。野球部員は1、2年生で59人。OBに陸上3段跳び五輪金メダリストの南部忠平氏、元ヤクルトの若松勉氏、巨人鍵谷ら。所在地は札幌市豊平区旭町4の1の41。秋山秀司校長。

 

◆北海と全国大会 甲子園には春夏合計で50度出場し、通算成績は33勝50敗。夏は16年準優勝のほか4強1度、8強8度などで21勝。センバツは準優勝、4強各1度、8強2度などで12勝。北海中時代の1920年(大9)に最初の北海道代表として出場。22年の1回戦で名古屋商(愛知)を11-3で下し初勝利。球場が甲子園に変わった24年、開幕戦で静岡中を5-4で下し夏の甲子園で全国最初の勝利を挙げた。今回の春夏合計51度目の出場で、出場回数は早実(東京)を抜いて単独6位となった。