甲子園再開初戦を飾る。第93回選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)の組み合わせ抽選がオンラインで実施され、10年ぶり出場の北海は、大会初日(19日)の開幕試合で神戸国際大付(兵庫)との対戦が決まった。前回甲子園に出場した17年夏初戦で敗れた相手との再戦。甲子園完成直後の24年(大13)夏の開幕試合で聖地1勝一番乗りした古豪が、今度は因縁の相手に雪辱し、大会復活1勝一番乗りを狙う。

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北海が令和最初のセンバツ勝利をつかむ。主将の宮下朝陽遊撃手(2年)は、抽選の28番目。残る5枚のカードから開幕試合の2番を引くと、一瞬ひるんだ。「みんなから初日だけは避けてと言われていたので申し訳ない。でも、決まったからにはやるしかない。1番最初に甲子園で試合ができる。プラスに考えて準備したい」。伝統校のリーダーは、すぐに前を向いた。

相手は前回甲子園出場した4年前の夏に敗れた神戸国際大付。当時、中学2年だったエース左腕木村大成(2年)は自宅テレビで応援していた。「途中まで勝っていたのに逆転負け。悔しかった。そういう相手と開幕試合ができる。なかなか経験できないこと。目立てるし、ピンチで三振を取って打線を勢いづけさせたい」。出場32校中最高の防御率0・34(投球回25回以上)、最多72奪三振の豪腕が、勝利を引き寄せる。

早速、情報収集も開始。神戸国際大付は木村と同じ最速145キロの右腕エース阪上翔也(2年)が大黒柱だ。左右好投手の対決に木村も腕ぶす。昨秋全道大会決勝では、最速147キロを誇る旭川実のプロ注目右腕、田中楓基(2年)相手に完封で投げ勝っており「相手がいい投手ほど自分はパフォーマンスが上がる。楽しみ」と意気込んだ。

チームは今後、3月5日に本州入りし、練習試合を約10試合こなし、仕上げていく。就任24年目の平川敦監督(49)にとっても思いが募る大会だ。阪神大震災直後の95年にコーチ、東日本大震災直後の11年は監督でセンバツを経験。コロナ禍による中止を経て2年ぶりの“春”が来る。「この社会情勢の中で開かれる大会の開幕戦を戦える。リスタートの意味で必死で戦いたい」。15年夏の開幕戦は鹿児島実に4-18と敗れたが「夏と春は違う」と気にしていない。97年前、甲子園最初の勝利を挙げた古豪が、大会再開ののろしとなる、意義ある1勝をつかみ取る。【永野高輔】

○…今大会はコロナ禍でブラスバンド応援が中止のため、甲子園に行けない北海吹奏楽局の53人が、野球部の前で応援演奏を披露した。左腕エース木村の応援曲「サウスポー」など23曲を奏で、エールをおくった。局長の加藤瀬愛(せいな)さん(2年)は「アルプスで応援できないのが悔しい。試合当日、リモートでの演奏ができれば、精いっぱい応援したい」。宮下主将は「今日の応援を胸に、しっかり勝って恩返ししたい」と気を引き締めた。

▽DeNA阪口皓亮投手(21=17年夏の甲子園に出場)「今日が抽選会と知らなかった。母校が甲子園に出て、すごくうれしい。僕自身、甲子園に出てこの道にすすめた。(差し入れは)僕が出た時も鍵谷さん、戸川さん、川越さんが、いろいろやってくれた。僕も恩返しできたら。無観客でも見てくれる人は見てくれる。北海の伝統のスタイルを貫いてもらいたい」

◆北海の甲子園開幕戦 過去に春2度(1勝1敗)、夏7度(1勝6敗)。夏は北海中時代の1940年までに6度。直近は15年に鹿児島実と対戦。75年ぶりの開幕戦だったが、1イニング10失点を喫するなど4-18で敗れた。

◆北海道勢の対兵庫県勢センバツ成績 過去14度の対戦で4勝10敗。直近は05年2回戦で、2年の田中将大(現楽天)がメンバー入りしていた駒大苫小牧が神戸国際大付に0-4で敗退。北海は、北海中時代の38年2回戦で明石中に3-8で敗れたのを皮切りに、95年1回戦で報徳学園に3-4で敗れるまで通算2勝2敗。夏の北海は兵庫県勢に0勝5敗。17年夏は神戸国際大付と対戦し、阪口皓亮(現DeNA)が先発するも4-5で逆転負け。

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