昨秋の全道大会で準優勝した旭川実が、留萌を12-0の5回コールドで下し、初戦を突破した。プロ注目右腕のエース田中楓基投手(3年)が先発で4回1安打4奪三振の無失点。打者12人で切って取り、自己最速タイの147キロをマークするなど好投した。3回1死一、二塁では自身初となる右越えランニング本塁打も放ち、投打で勝利を呼び込んだ。

ほぼ完璧な内容で、田中楓が21年最初の公式戦を飾った。3回まで無安打無失点投球。4回に1安打許すも盗塁死となり、4回50球の打者12人で、2番手の中野澪(3年)につないだ。無四球4奪三振に「まずはストライク先行で、リズムよくということを考えた」。岡本大輔監督(48)は「エースが非常にいい投球をしてくれた」と快投をたたえた。

昨秋は全道決勝で北海に0-1で惜敗。本塁打による1失点でセンバツ切符を逃した。その後、室内練習場の壁には岡本監督の提案で「準優勝で終わってたまるか」と張り出された。横4メートル縦1メートルの巨大な張り紙の最後には、夏の11年ぶり甲子園出場を願い「!」が11個つけられた。田中楓は「ブルペンに立つと見えるので、秋のことを思い返す。甲子園に行きたい。まずは春、全道に出て強いチームと対戦し、夏につなげたい」と強い口調で話した。

冬場の筋力トレーニングと間食のモチ効果で体重が7キロ増し78キロに。成果は球威に表れ、この日は自己最速タイの147キロを初回と3回に計5球記録した。「前は思い切って投げないと球速が出なかったが、8割の力でも出るようになった」。視察したDeNA欠端スカウトは「真っすぐに力がある。腕の振りも良く、将来性がある」と話した。

打っては3回に自身初となる右越えのランニング3ランを放ち「2回にバント失敗したので、取り返そうと必死で走った」。夏の聖地への切符をつかむため、全力で投げて打って走りまくる。【永野高輔】