新潟産大付は新潟に6-2で勝ち、19年秋以来の決勝進出を決めた。1回1死一、二塁で、2試合当たりが止まっていた4番鈴木健太郎左翼手(3年)が先制の中前適時打を放ち、チームを勢いに乗せた。

関根学園は新潟明訓に4-2で勝ち、18年春以来の決勝進出。エース牧野水樹投手(3年)が9回を3安打、2失点に抑え、完投した。決勝は13日に長岡市悠久山野球場で開かれる。

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4番鈴木の存在感がグラウンドで際立った。3試合ぶり、10打席ぶりの安打を大事な場面で決めた。0-0の1回1死一、二塁。低めの直球をとらえ、中前にボールを運んだ。「やっと1本が出た。何としても打とうと思った」。そんな思いがバットに乗った。貴重な先制打。主砲の先制打で勢いに乗った打線は、初回は3点をもぎ取り、試合の主導権を握った。

「チームに迷惑をかけてて申し訳ないという気持ちがあった」と鈴木。3回戦の上越総合技術戦の3回に右越え三塁打を打ってから2試合9打席連続で沈黙。準々決勝の五泉戦後には、バットを午後9時まで振り続けた。この日はタイミングの取り方を修正し、初打席に臨んだ。「ボールを見る時間を長くした」。3回の第2打席でも左前打を放った。4打数2安打で、努力は結実。吉野公浩監督(54)は「彼が打つことで勢いがついてくる」と4番を信頼し続け、鈴木はその期待に応えた。

昨秋は初戦の2回戦で中越に2-3で負けていた。吉野監督は「最下位からのスタート」と話したが、春は初の“県頂点”へあと1勝に迫った。鈴木は「チャンスは回ってくる。そこで打ちたい」と決勝に向けて、力を込めた。【涌井幹雄】

○…新潟は2-6で敗退した。初回に3失点。2回途中から継投に出るが、2、3回も失点し、引き離された。4回に2点を返し、金田光貴(3年)が3番手で登板するが試合の流れを引き戻すことはできなかった。後藤桂太監督(54)は「投手陣が今大会の経験を通し、ひとつふたつ成長してくれた。もっともっと強い気持ちと、今後、さまざまな武器も備えて戦ういい薬になった」と振り返った。