札幌日大が旭川大高にサヨナラ勝ちし、準優勝した18年以来3年ぶりの4強に進出した。9番本多脩生三塁手(2年)が9回1死二塁でサヨナラの左前適時打を放った。昨秋の全道準々決勝敗退を機に、捕手と内野のポジションをシャッフル。本多を含めた新布陣が安定し、2戦無失策で勝ち上がった。

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札幌日大がチーム力を結集し難敵から白星を奪った。9回1死二塁、本多が左前適時打を放つと、二塁から前川佳央投手(3年)がジャンプして生還。勝利を決めた本多は、一塁を回ったところで照れ笑いを浮かべながら整列に加わった。先輩たちに出迎えられ「これまでヒットを打てず悩んでいたが最後は気持ちで打った。チームに貢献出来てうれしい」と喜んだ。

今春は26日の初戦(函館工戦)から、この日の3打席目まで5打数無安打。苦しんでいた9番打者の決勝打に森本卓朗監督(40)は「守備が良くて使っていたが、いいところで打ってくれた」。昨秋から今春の地区予選まで主に守備の交代要員だった男が、打撃面で大仕事をやってのけた。

昨秋は全道準々決勝で優勝した北海に0-10の7回コールド負け。森本監督は「上のレベルに上げるため、いろいろな可能性を考えたかった」と、捕手と内野の5ポジションをすべて変更した。田中銀河が捕手から遊撃、祝田騎士が三塁から二塁、森順哉(いずれも3年)が捕手から一塁、久保田陽喜(2年)が二塁から遊撃に変わったが、三塁だけは最後まで固定メンバーが決まらなかった。

そこで二塁の控えだった本多に白羽の矢が立ち、全道大会前に急きょコンバート。見事に順応してみせた。森本監督は無失策での4強進出に「投手中心に守備から少ないチャンスで点を取る、やりたい野球ができるようになった」。大胆な試みでチーム力を上げた札幌日大が、春は初の頂点を目指す。【永野高輔】