夏本番の前哨戦となる県北支部選手権が開幕した! 福島北が快勝発進。昨秋東北大会出場の古豪、福島商を6-4で撃破。先発した背番号1の斎藤葵投手(3年)が9回8安打4失点(自責2)。7回には同点適時打を放つなど投打で大活躍した。春の県大会優勝の聖光学院は、11安打10得点の猛攻で福島東に6回コールド勝ち。福島西は福島明成に5回コールド勝ちした。

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165センチの斎藤が公式戦で初完投。「三度目の正直」で勝利を刻んだ。9回1死一塁の場面。最後は一塁ライナー併殺でゲームセット。「よっしゃー!」。雄たけびを上げ、渾身(こんしん)のガッツポーズをつくった。「ほっとした。(福島商には)秋、春と2回も負けているので勝ちたかった」。最終回に3安打で2失点したが、マウンドは誰にも譲らなかった。109球の熱投で雪辱を果たした。

粘りの投球を披露した。3者凡退は2回のみ。ほぼ毎回走者を置いたが、丁寧にコースに投げ分け8回まで2失点(自責0)で踏ん張った。奪三振はわずか2。リズムを大事に、打たせて取った。「前半は良かったけど、後半に疲れが出てきた時に、変化球が甘く入ってしまった。次につなげていきたい」と課題も忘れなかった。

一冬の成果が完投劇につながった。今冬のテーマに掲げたのは「ボール1個分の出し入れ」。1日平均40~50球を投げ込み、指先の感覚を養った。外角への制球が最大の持ち味。多彩な変化球も操り、相手打線に的を絞らせない。「外角の直球が自分の一番の武器。完投できたことは、大きな自信になった」と、納得の表情で振り返った。

強豪私学に立ち向かう。次戦は12日に夏14連覇中の絶対王者、聖光学院と対戦する。「夏につなげるためにもペース配分を考えながら、インコースも攻めていきたい」と意気込んだ。小さなエースが福島の牙城を崩す。【佐藤究】

◯…聖光学院「1番遊撃」で先発の皆川雅己内野手(3年)が適時打を含む2安打1打点で打線を引っ張った。初回の第1打席。いきなり初球を捉え左前安打を放ち、先制のホームも踏んだ。「ファーストストライクをつぶすことを心がけてやっている」という言葉通りの打撃だった。3-0の4回1死一、三塁では、外角直球を流し打ち。打球は一塁手の前で弾み、右前適時打で追加点をマーク。守備では3度の遊ゴロを軽快にさばき、攻守で躍動した。

◯…福島西が7安打で10得点を挙げ大勝した。3-0の5回に一挙7得点。サヨナラコールドで2回戦に駒を進めた。主将の村上達也内野手(3年)は「(福島明成は)練習試合で勝利した相手だったが、油断しないで戦おうと臨んだ。初戦を勝てて良かった」と振り返った。大会前にはチーム全員が5厘刈りとなり、気合は十分だった。「大会前の伝統行事です。みんなでそろえた方が、士気も上がる」。次戦は橘と対戦する。「1つでも多く勝ち進みたい。(初戦では)無安打に終わったので、次は1本打ちます」と力を込めた。