<高校野球長野大会:中野立志館6-5上伊那農>◇5日◇1回戦◇県営上田野球場
上伊那農の先発、根津佑基投手(3年)は、エース溝上慎(3年)につなげるために初回から飛ばしたが、最後は中野立志館の粘りの前に力尽きた。ぽっちゃりとした風貌で、ベンチでは声を張り上げてチームを鼓舞してきたが、サヨナラ負けが決まるとぎゅっと口をつぐんだ。チームメートが泣きだす中、じっと相手チームの整列を見詰めていた。
身長177センチ、体重86キロ。球種はカーブと2種類のスライダー。剛球タイプと思いきや、緩急をつけたスライダーで打ち取るピッチングが持ち味。4-2とリードを奪ったところで、4回から2番手の小沢陸翔投手(3年)につないだが、制球を乱し犠飛などで1点を返され、ここで根津が再登板。しかし、スクイズなどでこの回3点を失い、再逆転された。「立ち上がりから緊張していて、雰囲気にのまれてしまい、失点してしまいました」。涙はなく、一生懸命試合を振り返ろうとする姿が、誠実な人柄を感じさせた。
最後の試合は2度マウンドに立ち、計3回2/3を投げて5安打2失点だった。打っては5番。惜しい当たりを連発したが、犠飛1本で安打は出なかった。「ここぞでヒットを打てませんでしたし、いい当たりでも落ちなかったので悔しいです」。
試合の中では、走塁ミスをした大島伊織捕手(3年)に、イニング間のベンチで笑顔で近づき、何かを話し掛けながら頭をさわるポーズをして、気持ちを和らげようとしていた。「1つのプレーで雰囲気が悪くならないよう、ほぐす感じで声を出しました」。
これで野球は一区切りをつける。進路は明確に「料理の専門学校に行きます」と言った。「和食を学ぼうと思っています。実家は祖父の代からそば屋をしています。継ぐかどうかは分かりません。僕にもやりたいことがありますから、それを優先しようと思っています。でも、継ぐことも頭の中には入っています」。立派な体格だけに、まだ野球を続ける可能性もあるのかと感じたが、しっかりと自分の将来を見据えた受け答えだった。【井上真】

