昨夏の県独自大会4強の弘前東が、苦しみながらも初戦突破を決めた。大間を13-8で撃破。最大4点差の逆転勝ち。3番手で登板したエース右腕、山谷謙之信(3年)が計5回2/3を3安打1失点の好投。打っては、3安打1打点と投打の大活躍だった。

山谷が「津軽の二刀流」に名乗りを上げた。2-5の4回1死二、三塁。背番号1がマウンドに向かった。「想定よりも(登板が)早かったけど、準備はできていた」。内野ゴロの間に1点は許すも、打者2人できっちり抑えた。その直後の攻撃で3点を返し、5回に逆転。山谷も「猛打賞」の活躍で打線を引っ張った。「打撃の状態は良い。広い視野で捉えることができている」。

投球の神髄は「粘り」だ。12-6の7回無死満塁。同回から三塁の守備位置についた山谷が、わずか数分で再登板。最初の打者に、犠牲フライを許すも、1点のみでしのいだ。8回には3連打で1失点も、後続は打ち取って最少失点で切り抜けた。「自分の強みは粘り強さ。ピンチの場面でも最少失点で抑えられたのが良かった」。津軽半島南部に位置する五所川原出身。数の子、昆布、するめをしょうゆに漬け込んだ「津軽漬け」は好物の1つ。ネバネバ感が特徴でご飯によく合う。「津軽漬けが好き。いつも白米と一緒に食べている」。粘りの投球を生み出す“必需品”だ。

「巻き返しの夏」と誓う。昨秋は地区予選敗退、今春は県大会出場も2回戦で姿を消した。次戦は17日、シード校の八戸工大二との1つのヤマ場を迎える。「投打で100%の力を出し切りたい」。雪辱を果たすためにも、一投一打に集中力を研ぎ澄ます。【佐藤究】