<高校野球神奈川大会:横浜創学館12-0瀬谷西>◇15日◇2回戦◇バッティングパレス相石スタジアムひらつか

目に見えてギアが上がった。3回無死一、三塁。横浜創学館の絶対的エース、山岸翠(あきら)投手(3年)は「一番自信を持っている球」という直球に力を込めた。1番を空振り三振、2番を一邪飛に打ち取ると、次打者の打席で捕手が盗塁を刺し、ピンチを脱した。終わってみれば4回2安打無失点。投球でリズムを作り、5回コールド勝ちの初戦突破に貢献した。

サイドスロー気味の変則フォームは小6時からで、阪神青柳やDeNA平良の下半身の動かし方を参考に作り上げてきた。最速149キロ、回転数2300のストレートが光る。春の県大会ではほぼ1人で投げ抜き、18年夏以来のベスト8。「いけるのであれば高卒で」と、プロへの思いも強い。

曽祖父の「心の美しい人になって欲しい」という思いが込められた「翠」の名の通り、誰からも慕われる人柄だ。妹の京美(みやび)さん(1年)も、続けてきた器械体操をやめ同校のマネジャーとして兄を支える。マウンドを降りれば「勉強やスコアブックの付け方を教えてくれる優しいお兄ちゃん」。「日本で一番長く試合を見たい」と目を輝かせる妹を、同校初の甲子園へ連れて行く。【勝部晃多】