最後の夏、父と同じ舞台を踏むことができず目を潤ませた。旭川工・塚目翔雲投手(3年)は先発としてマウンドに上がったが、本来の投球が出来なかった。1回先頭から2者連続で四球を与え、味方守備のミスが絡んで先制点を許した。2回に同点に追いついた直後のマウンドも勝ち越されるなど、5回4失点(自責2)。高校最後の試合は94球で降板となった。「甘いところを打たれた。詰まりながらでも持っていかれた」と声を詰まらせた。

旭川工で野球をしようと決めたのは理由があった。父敬博さん(48)も同校でプレーし、91年の夏、甲子園初出場時のメンバーとして聖地の土を踏んだ経験を持っている。今夏からエースナンバーを背負う左腕は明確な目標があったから、ここまで頑張ってこられた。

この日試合前の朝には「楽しんで野球をやってこい」と父に背中を押され挑んが、夢をかなえられず高校野球生活を終えた。父に勝利で恩返しは出来なかったが「これまでたくさんアドバイスをくれた。感謝しているし、ありがとうと言いたい」。悔しさをバネに次のステージで活躍してみせる。【山崎純一】

◆名前に「翔」 明治安田生命が調査、公表している「生まれ年別名前ランキング」で、「翔」が82年に初めて男の子のトップ10に入って以来、「翔」の入った名前が20年まで10位以内に入っている。88~91年の4年連続を含め「翔太」が7度の1位、「大翔」が07~11年の5年連続を含む6度の1位。76年刊行の司馬遼太郎の小説「翔ぶが如く」、映画「ハイティーン・ブギ」(82年公開)で近藤真彦が主人公・藤丸翔を演じたことなどが影響しているとされる。