19年夏の山口王者、宇部鴻城が4強入りを決めた。背番号「11」の浦部愛翔投手(3年)が「マエケン投法」で1失点完投。先発3本柱の一角が、7安打8奪三振でチームに勝利を呼んだ。

昨秋の中国大会で審判から「2段モーション」を注意され、ツインズ前田と同じフォームに修正。踏み出す前に上げる左足と構えたグラブを「ポンッ」とぶつける間を加えた。前田を意識したわけではなかったが「自分は腕でタイミングを取るので投げやすくなりました」と効果を実感。修正してからは直球の走りが良くなったといい、この日は自己最速を4キロ更新する139キロを計測した。

宇部鴻城は浦部に加え、背番号「1」の天野大空(たく)、背番号「10」の山本隆章投手と同学年の3人で1回戦から投げ抜いてきた。試合中はお互いにアドバイスを送り合い、刺激しあう間柄だ。「今日は、『周りを見てしっかりやること』と言われました」。切磋琢磨(せっさたくま)してきたチームメートの思いも胸に、完投劇を演じた。

この日は宇部鴻城の尾崎公彦監督が51歳の誕生日だった。浦部の好投で、指揮官にバースデー星をプレゼント。尾崎監督は「選手たちは『絶対に勝たないといけない』と思っていたでしょうね」と笑いつつ「最初は硬くなっていたけど、なんとか勝てて良かったです」と胸をなでおろした。【只松憲】