来年3月で勇退する東洋大姫路の藤田明彦監督(64)は4日、兵庫・姫路市内の同校で会見を行った。同年4月1日から、後任に履正社(大阪)の岡田龍生監督(60)が新監督として就任することも発表された。

藤田監督は通算19年間、同校を率いて、高校野球史を彩った名監督の1人だ。97年から06年までと11年から現在までの2期にわたって春夏通算5度の甲子園出場を誇り、ヤクルト原樹理やソフトバンク甲斐野央らを指導した。任期満了での退任。「勝つことの難しさにぶつかり続けた日々でしたが、それでも一瞬の喜びというか、甲子園を求めて野球をやらせてもらった野球人生には悔いはございません」と振り返った。

今年は好投手の森健人投手(2年)を擁して秋季兵庫大会で3位に入った。秋季近畿大会では1回戦で智弁学園(奈良)と対戦し、夏の甲子園準優勝校を撃破していた。準々決勝で大阪桐蔭に敗れたが近畿8強入り。22年3月のセンバツ出場校の候補に名を連ねる。

藤田監督は「野球の監督をして初めて人の試合が気になった。自分のところじゃないチームの試合が気になった」と言う。22年1月のセンバツ出場校選考会で選出されれば、藤田監督は大会期間中を通じて指揮を執る。「以前は怖い、と思われてやってきた。辞めようと決めてから(選手と)距離が近くなった。以前に比べたら近い存在でやっていきたい」と続けた。

二人三脚で指導してきた三牧一雅野球部長も22年3月限りで退任する。指揮官は三牧部長に「辞めるとき(常総学院の)木内監督もそう。自分も甲子園を最後に監督業を終えたい」と漏らしてきた。来春からは、19年の夏の甲子園を優勝した岡田監督に託して強化を進めるが、センバツ出場が決まれば、名門の意地を示す、男の花道になる。