東洋大姫路(兵庫)は4日、同校OBで19年夏の甲子園大会で履正社(大阪)を優勝に導いた岡田龍生監督(60)が来年4月1日から新監督に就任すると発表した。藤田明彦監督(64)は来年3月で勇退。岡田監督は大阪・茨木市内で「甲子園は打てないと勝てない。早く甲子園に出て強力打線の東洋大姫路と言ってもらえる打線を作って、もう1度、日本一を目指せるチーム作りをしたい」と「第一声」を発した。

新監督就任の打診を受けたのは5月だ。「母校から話があるとは思ってもいなかった。履正社で高校野球を終わると思って過ごしてきた。葛藤があった。悩みました」。履正社に続投を要請されたが、藤田監督からも強く求められた。「いまがあるのは高校のおかげ」。恩返しも決め手だ。

東洋大姫路は春夏通算19度の甲子園出場を誇り、77年夏に優勝した名門だが、11年夏を最後に甲子園から遠ざかる。岡田監督は早くもチームを分析。秋季近畿大会準々決勝の大阪桐蔭戦も中継を見て気づいたことがあった。「体もまだまだ細い。(大阪桐蔭と)大人と子どもの差くらいの違いがあった。打力を上げようと思っても技術だけでは難しい」。学校側に要望したトレーニング室も新設される予定だ。「また新たな楽しみができた」。名将が武者震いした。【酒井俊作】

○…東洋大姫路を19年間率い、来年3月31日で退職する藤田監督は姫路市内の同校で退任会見に臨み、「勝つことの難しさにぶつかり続けた日々。それでも一瞬の喜び、甲子園を求めて野球をやらせてもらった野球人生に悔いはない」と話した。春夏通算5度の甲子園出場に導き、今秋は近畿大会で8強入り。来春のセンバツの出場候補で、選出されれば大会を通じて指揮を執る。「辞めようと決めてから(選手との)距離が近くなった」。生徒と花道を飾るつもりだ。

東洋大姫路・大森茂樹校長 伝統は守りの野球。攻撃力が強くありませんでした。岡田監督は昔の池田高校の蔦監督のように「攻めダルマ」の攻撃的野球をされていた。全国を取るには、守備力や攻撃力、両方相まって初めて出ていける。