21年が幕を閉じる。20年はコロナ禍で大会やイベントの中止が相次いだが、この1年は感染予防対策を取りながらスポーツ、文化とも、少しずつ前に進みだした。北海道では、コンサドーレ札幌へのサッカー元日本代表MF小野伸二(42)の復帰に始まり、夏場は東京五輪で北海道勢が活躍。12月はお笑いコンビ「錦鯉」の50歳長谷川雅紀(札幌市出身)がM-1グランプリ最年長優勝を飾り盛り上げた。日刊スポーツ北海道版担当記者が1年を振り返り、取材時の裏話、思い出などをつづった。

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2年ぶりに夏の甲子園を懸けた戦いが戻ってきた。昨夏はコロナ禍で夏の甲子園が中止。北海道高野連独自開催の南北北海道大会は、甲子園にはつながらなかった。一時的に感染の広がりが抑えられていた今夏は、聖地への切符を争う南北大会が復活。声を出した応援は自粛が呼びかけられたが、ブラスバンド応援が可能となり、球児をもり立てる華やかな音が、スタンドに帰ってきた。

来年度いっぱいで閉校する伊達緑丘は、選手9人で最後の単独出場。初戦が日曜だったため、吹奏楽部員13人を含む計49人の有志が応援にかけつけた。全国完封勝利一番乗りの越橋宗次郎投手(3年)は「スタンドの応援が最後まで投げる力になった」。上富良野の白田貴志主将(3年)は高校生活最後の夏、初の単独出場。「打席の中でわくわくした。ブラスバンドの応援はすごく励みになった」。初戦で旭川永嶺に0-17と大敗も、甲子園を思い描き、仲間と懸命に白球を追った。

今秋は再び、関係者以外無観客に。変異株の問題も取り沙汰され、来春以降の開催方法は未定だ。困難の中、感染予防対策をしながら運営するノウハウは、少しずつ蓄えられている。球児が力を発揮する舞台が失われないようにと、切に願う。【永野高輔】