21世紀枠で出場した大分舞鶴。初の甲子園での戦いは、浦和学院(埼玉)に完封負けだった。

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悲願の聖地1勝はかなわなかった。それでも、チームはサポートメンバーを含め、一丸となって、勝利を追い続けた。

東大合格者も輩出する県内屈指の公立進学校。チームには昨夏から「分析班」が創設された。県準優勝に輝いた21年夏に、当時の3年生を中心に試行。昨秋から本格的に導入した。

リーダーを務める高柳直輝(3年)は、偏差値70超え。本年度の期末考査は2度とも文系トップの成績だった。高柳は「昨夏に準優勝して、分析の重要性が分かった。どんなに強い相手でも弱点を探ったり、自分たちの長所が生かせる方法を探して、点を取れたり、抑えたりできる」と話す。

効果は出た。秋季大会準決勝、大分西戦では「相手投手が左と右バッターで配球が決まっていた。右にはインコースの真っすぐ、左にはアウトコースが多い」。結果は16得点の大勝だった。普段の映像分析のほか、試合中もデータを取って、すぐに生かすこともある。計4人の縁の下の力持ちが、21世紀枠としての甲子園初出場を支えていた。

この日の浦和学院戦もユーチューブで映像を集めるなど、宿舎で分析に明け暮れていた。3回にチーム初安打を放った1番阿部泰己外野手(2年)は「分析班が『初球はインコースの真っすぐが多い』と言っていた。分析通りに結果が出ました」と感謝していた。エース奥本も「普通なら全く分からない状態で投げるけど、分かったうえで投げられる」と平常心でマウンドに立てた。

この日、勝利は手中にできなかった。ただ、なかなかスポットが当たらない地道な努力や育んできたサポート力…聖地であらためて感じたこともあったに違いない。秀才軍団の夏の挑戦も、また注目したいと思う。【只松憲】