06年夏、早実(西東京)で日本一に輝いてから16年。昨季限りで引退した元日本ハムの斎藤佑樹氏(33)が、自身の経験をもとに、センバツで戦う高校球児たちにエールを送った。

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ゆっくり高校野球を見るのは久しぶりです。現役時代はなかなかできませんでした。やっぱりいいですね。たくさんのことを思い出して、胸が熱くなります。

開幕戦に登場した浦和学院の森監督、田中部長は早稲田大学の2年後輩です。2人がベンチにいて、すごくうれしかったですね。僕らの時より、みんな体格がいい。大会第1号を打った高山君も、クリーンアップの選手たちも大きいですね。構えている雰囲気もあるし、ピッチャーも心強いだろうなって思います。

宮城投手は落ち着いてますね。ピッチャーにとって立ち上がりってすごく難しい。当時の僕より、全然落ち着いて投げてましたね。

僕はセンバツにすごく思い入れがあるんです。初めて出た甲子園ですから。球場に入った瞬間、緑のにおい、芝の香りがすごくしました。それがすごく印象的で。ドキドキ感とかもちゃんと覚えてます。

夏の甲子園決勝の2連投をよくフォーカスされますけど、センバツの再試合も印象的です。関西戦で延長15回を投げて、翌日は3回から7イニング投げました。2連投した試合後、校歌を歌っていた時に、雪が降ってきたんです。

今日も雨は降りましたけど、考えられないじゃないですか。半袖で投げようか迷う日もあるのに。僕たちもだいぶ長く感じたので、あの2試合は。2校に対して、神様がお疲れさまって言ってくれたような雪だったなって思いました。

次の準々決勝では、横浜にぼろ負け(3-13)しました。この経験が、夏にもっと自分がレベルアップしないといけないなって、思わされた1試合でした。

開幕戦で敗れた大分舞鶴は、今回の出場校では夏に向けて一番早く再スタートが切れます。惜しくも負けてしまった倉敷工、クラークもそうです。夏の大会の方が注目されがちですけど、センバツは高校球児にとってはすごく大きな大会です。僕は横浜を倒さないと夏の大会は優勝できないと痛感して、球速アップのトレーニングを始めました。夏までに最速は5キロ、アベレージは10キロぐらい上がったイメージです。

春は甲子園の土は持ち帰らなかったです。今思えば生意気でしたね。夏に絶対に来るって自分にプレッシャーをかけました。今の僕なら絶対に持ち帰ると思いますけど(笑い)。夏にまた来られるとは限らないので、勝った3校は優勝を目指して頑張ってほしいです。