善戦、という言葉では足りないほどの奮闘で、鳴門が大阪桐蔭と渡り合った。「向かって行って、思い切ってやるんだと。選手たちも気持ちがたかぶるようなことがずっと続いていた。甲子園でできて良かったです」。約4カ月半ぶりの対外試合を、森脇稔監督(60)はそう振り返った。
【ニッカン式スコア】大阪桐蔭-鳴門の詳細速報
新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための徳島県教育委員会の方針で、他校との練習試合が組めず。昨年11月6日の広島商との練習試合が、最後の試合になった。対外試合で仕上げができない中、初戦の相手が大阪桐蔭に決まった。
実戦不足を嘆くより、やれることをやろう-。「自分たちの野球を見せよう」という三浦鉄昇主将(3年)の思いは、チームの思いにもなった。地元でも、19日の宿舎入り後も紅白戦を行い、実戦勘を鈍らせない工夫を重ねた。
敵の姿を目の当たりにしたときに湧き上がるアドレナリン。味方相手の紅白戦では、限界があった。それも「甲子園に入って雰囲気を感じて、ブルペンで投げるうちに出てきました」とエースの冨田遼弥(3年)。先輩の日本ハム河野に憧れ、右肩が開かないようにする工夫などを参考にする。3回に3安打を浴び、2点の先行を許した。7回に自身の適時打で1点差に詰め寄ったが、8回に相手主将にスクイズを決められた。だが終始思いきって内角を攻め、直球、スライダーなどで大阪桐蔭打線に空を切らせた。今大会屈指の左腕らしい投球を最後まで続けた。
チームの攻守の動きの良さに、約4カ月半のブランドは感じられず。5回1死一塁で、プロ注目の相手3番、松尾汐恩(しおん)捕手(3年)が三塁ファウルゾーンに打ち上げた飛球を捕手と三塁手が追い掛けた。最後は捕手の土肥憲将(3年)が三塁手の視界を広げて捕球をアシストしようと、グラウンドに倒れ込んだ。相手を思いやる守備の連係も感じさせた。
ただ、相手先発の川原嗣貴(しき、3年)を攻め切れなかった。「低めの見極めができなかったり、早いカウントで仕掛けることができなかった。そのあたりが…」と森脇監督は悔やんだ。冨田を軸に万全の準備を整えたら、全国で覇を競えるチームになる。夏に期待を抱かせる惜敗だった。【堀まどか】

