主将のバットが「春王者」を引き寄せた。羽黒が昨秋県Vの酒田南を11-1で下し、3大会ぶり10度目の優勝に輝いた。鈴木響太主将(3年)が3点本塁打を含む3安打4打点と活躍。2回戦敗退で終わった昨秋の悔しさを胸にチームを頂点に押し上げた。3位決定戦は山形中央が日大山形に13-11で勝利した。

優勝した余韻をかみしめながら前に進んだ。10点リードの9回2死一、二塁。カウント2-2。本間葉琉投手(3年)が投じた渾身(こんしん)の1球に、中堅手の鈴木響が集中した。三振を奪って雄たけびを上げるエースを真後ろから見届け、チームメートが並ぶ本塁へと走りだした。「秋は初戦で負けてこの大会は優勝を狙っていた。ホッとして力が抜けた」と力を出し切った。

一振りで結果を残した。2点リードの1回無死一、三塁。「追加点が欲しかったのでしっかりランナーをかえす気持ちだった」と右打席へ。狙いは直球。相手左腕の投球にタイミングを合わせ、体に向かってくる初球の直球に反応した。引っ張った打球は「詰まったので入るとは思わなかった」。左翼フェンスを越えた打球はダメ押しの3点本塁打となり、一挙7得点の流れを呼び込んだ。

打たないといけない責任を感じる。1年秋からベンチ入りし、今春は5番を任される。「(後続は)下位打線になるので、しっかりかえすという気持ちを持っている」。準々決勝の鶴岡東戦では、1点を追う6回無死二塁で値千金の左越え2点本塁打。この日は昨春準決勝でサヨナラ負けした相手に奮い立ち、3安打4打点で役割を全うした。

今後は6月7日、福島で開幕する東北大会に向けて調整していく。「仙台育英(宮城)や甲子園に出た花巻東(岩手)、聖光学院(福島)とかレベルの高いチームに勝って優勝したい。自分たちの力がどれくらい通用するか試したい」。各地の強豪が相手でも変わらず、勝利のために全力を出し切る。【相沢孔志】