前回19年大会王者の弘前学院聖愛(青森2位)が5-0で学法石川(福島3位)に快勝し、春の東北大会連覇(20、21年はコロナ禍で中止)へ好発進した。先発の背番号10津川凱投手(3年)が、7回を投げ3安打無失点。エースナンバー奪取に燃える右腕が、確かな結果を示した。

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津川が先発の役目を堂々と果たした。7回2死で相手6番を遊ゴロに打ち取り、この試合5度目の3者凡退。雄たけびを上げながら、駆け足でベンチに戻った。7回を75球で奪三振5。無四死球をマークし、テンポ良く打たせて3安打無失点と学法石川打線を手玉に取った。「自分の中では良かった。とにかく低めを意識したことがはまってくれた」と納得の内容だ。

その言葉通り、「低め」の制球が仕上がっていた。キレのある130キロ台直球を見せながら、打者のひざ元に決め球として変化球を集めていく。初回から3回まで1人の走者も許さないパーフェクトな立ち上がり。攻撃にリズムを作った。

ピンチにも動じることはなかった。4回。先頭打者に二塁打を許し、味方の失策も絡んで1死一、三塁。だが、ピンチの時こそ顔色を変えない。低め勝負を貫き、後続を一ゴロ、遊ゴロに抑えた。6回には1死から連打で一、二塁と再び得点圏に走者を背負うも、低めに投じた変化球で併殺に仕留めた。「1点は取られても良いと思って、併殺は自然につながった」。

コロナ禍で前回大会開催は19年までさかのぼる。当時、春の東北王者の座をつかんだのは聖愛だった。4年越しで挑む大会2連覇へ-。次戦今日9日、4強入りを懸けて仙台育英(宮城1位)と対戦する。「自分が投げて、勝ってやるつもりでいく。エースナンバーを目指す気持ちも忘れない」。今大会は背番号「10」。チームを勝利に導く「快投劇」を演じながら、エースへの階段を上がる。【佐藤究】