衝撃の1発で2戦連続コールド勝利に貢献した。

九州国際大付(福岡)の2年生スラッガー・佐倉侠史朗内野手が3回戦光陵戦(光陵グリーンスタジアム)で今夏1号ソロを含む3安打3打点と大暴れした。3回2死からの高校通算19号は右翼上段の植垣を超え、その奥のフェンスに直撃する推定120メートル弾。持ち前のパワーを十二分に発揮し、4回戦に導いた。

打った瞬間それと分かる当たりに、敵味方を問わず大きなどよめきが沸いた。衝撃的な余韻を残し、佐倉がダイヤモンドを1周する。場内すべてが心を打たれた放物線。ただ、2年生スラッガーは冷静だった。「本塁打を狙っていた」。106キロの大型長距離砲にとっては想定内の1発だった。

4点リードの3回2死。カウント1-1から高めに入った直球を鋭く振り抜いた。高い軌道で右翼席に放り込んだ。「内角寄り高めの甘い球。走者なしの場面だったので1点につながって良かったです」。

直前の雷が効いたのかもしれない。前の打者が三ゴロに倒れたが、佐倉は打席に向かっていなかった。「自分のヘルメットを探していた」と出遅れの理由を明かす。楠城徹監督(71)から「しっかりしろ」と怒りの声を背に、小走りで打席に入った。「(慌てていて)狙い球とかを頭に入れられなかった。逆にそれが良かったのかもしれません」。災い転じて福となす。そんな1発を振り返る。指揮官も「準備ができてなくて慌てて出ていったから、(打席に入る)前に怒ったんや。それが逆に何も考えずに済んで(本塁打に)つながったのかもしれない」。勝てたからこそできる反省だった。

5回1死一塁では中前打、8点リードの6回1死満塁では右翼線に2点適時二塁打を放ち、コールド勝ちを決める“サヨナラ打”。「本当にいい人ばかり」と慕う3年生と1日でも長く過ごすため、強打者がバットで6回コールド勝利を呼び込んだ。【前山慎治】

▽阪神畑山統括スカウト(ソロ本塁打を含む3安打3打点の佐倉について)「広陵の真鍋、花巻東の佐々木と、3羽がらすの1人。まだ2年生だし、楽しみが大きい」