“V2”に向け、快勝発進した。昨夏王者の東北学院が古川工に10-4で逆転勝ち。阿部惺哉投手(3年)が、身上とするテンポのよい投球で4失点完投。打撃でも2安打3打点と躍動し、初戦突破に貢献した。代替わりで挑んだ昨秋は県2回戦敗退、今春は中部地区予選敗退。これまでに味わった悔しい思いを集大成の夏にぶつけ、白星を重ねていく。

東北学院の「1」を背負う阿部が、投打で輝いた。5回に自身の暴投で勝ち越しを許した直後、1点を追う6回無死満塁で打席が回ってきた。「自分でミスをして失点した。チャンスで回ってきたので絶対にランナーをかえそう」と闘志を燃やした。カウント2-2から直球を引っ張ると、打球は左中間で弾み、走者一掃の適時二塁打。うれしさのあまり、右腕を高く突き上げて喜びを表現。この一打で勢いに乗った打線は一挙6得点で突き放した。

逆転後の終盤4回は疲労がある中、中学時代から継続するスタイルで粘った。ボールを捕手からもらうと「5秒から7秒ぐらいですぐ投げるイメージ」。横手から投げ込んでゾーンで勝負。「自分で流れを持ってくるつもりでテンポは速く投げた」と、この日奪ったアウト27個のうち三振はわずか「2」。凡打の山を築き、9回は併殺打で仕留め、勝利をもたらした。

もう1度、あの舞台に。昨夏は甲子園のスタンドで先輩を応援した。「一番はかっこよくプレーしているなと思った。自分たちもあの場所でプレーしたい」。だが、昨秋と今春は上位に勝ち上がることができず。チーム全体で意識改革した。「今までやってきた取り組みが甘いと確認した。練習でも全員に厳しい言葉をかける人がいなかった」と、大川口颯月主将(3年)を中心に声をかけて士気を高め、練習に取り組んできた。

連覇を狙う夏。「秋春は甲子園に出たエースがつけていた番号だったのでプレッシャーはあった」と話すが、今は違う。「自分がやるべきことをしっかりやる気持ちで投げたい」。2回戦は14日、仙台東戦。エースが快投を演じる。【相沢孔志】