甲子園に春夏5度出場の神戸弘陵(兵庫)が「双子バッテリー」の奮闘で初戦突破した。兄の小林楓依斗(かいと)投手(3年)と弟の悠依斗(ゆいと)捕手が4回からコンビを組み、3イニング無失点で完封勝ちに貢献した。

神戸弘陵の小林ツインズがシード校の力を見せつけた。4回に右腕の楓依斗が2番手で登板し先発マスクの悠依斗とバッテリーを結成。6回に四球で初めて先頭打者を出したが、続く打者を投ゴロ併殺打に片付け3イニングを1安打無失点に抑えバトンをつないだ。

ともに身長163センチ、顔がそっくりな兄弟は息を合わせ、完封リレーに貢献。相手打線に的を絞らせなかった。楓依斗は「双子だけど寮の部屋は別々で暮らしている」と言うが、悠依斗は「双子だからこそ、他のバッテリーよりもお互いのことを分かっている」ときっぱり。考えが分かるがゆえに「試合中に言い合うことも多い」と笑ったが、勝つために本気でぶつかってきた。

3年間、2人で高め合い、磨いてきたあうんの呼吸が今夏チームのパワーになるのは間違いない。岡本博公監督(41)がうれしそうに語る。「入学当初はライバル心むき出しで一緒に帰るのも見たことがなかったが、バッテリーを組んでから同じ行動をするようになった。『お前ら、仲がいいな』と言うと、2人は『野球の話をするようになりました』と言っていました」。

ここ10年で夏の兵庫大会は4回戦が最高。夏の甲子園は89年に出場したのが唯一で、4度出た春も含めて99年を最後に遠ざかる。今春の県大会は8強と奮闘しただけにその上を狙っていく。3回戦は市尼崎が相手。初戦で17得点した打線は侮れないが、2人は「自分のことに集中していきたい」と口をそろえた。小林兄弟を擁する神戸弘陵が、今世紀初の聖地を目指して突き進む。【小松将大】

<主な双子野球選手>

◆上崎克公&泰一 プロ野球初の双子選手。投手の克公と捕手の泰一でそろって63~64年に中日に在籍したが、どちらも1軍戦出場はなかった。

◆オジー&ホセ・カンセコ ともに外野手。オジーは91年近鉄に在籍も1軍戦出場なし。ホセはメジャー通算462本塁打の名選手。

◆亀山努&忍 鹿児島・鹿屋中央では忍投手と努捕手でバッテリーを組んだ。努は阪神入りし、外野手に。92年には新庄剛志とともに亀新フィーバーを起こした。忍は後に俳優に。

◆松田教明&宣浩 143キロを投げた教明と強打の宣浩はともに岐阜・中京で甲子園出場。宣浩はソフトバンクで人気選手に。教明はトヨタ自動車で外野手に転向した。

◆川口寛人&隼人 山梨・大月短大付でチームメートだった。史上初めて双子としてそろってドラフト指名された。寛人は10年巨人の育成7位、隼人は同年楽天育成3位。ともに内野手だったが、1軍戦出場はなかった。