昨夏王者・弘前学院聖愛が、序盤の「アーチ攻勢」で快勝発進した。昨春21世紀枠でセンバツ出場の八戸西に7回コールド勝ち。「5番右翼」の菊池成外野手(2年)が、大会初打席でグランドスラムを決めた。初回1死満塁。内角に入る変化球を捉え、左翼へ先制の満塁本塁打。2回には1番丸岡昂太郎(3年)が追加点のソロアーチ。9安打13得点と打線がつながり、夏連覇へ視界は良好だ。

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手に確かな感触を残したまま、菊池は一塁を回ったところでスタンドインを見届けた。「入るとは思わなかったけど、手応えはあった。1打席目から思い切っていけた」。

0-0の初回1死満塁。自身にとって夏の初打席を迎えた。「ランナーをかえすことを意識していた」。カウント1-1からの3球目。内角変化球を強振。打球は大きな放物線を描きながら、左翼芝生席で弾んだ。甲子園に出場した昨夏はベンチ外で、太鼓役を務めた。2年生でつかんだレギュラーの座。満塁弾で鮮烈な夏デビューを飾った。「3年生がつないでくれたチャンスに応えることができた」と胸を張った。

豪快なアーチとは対照的に「控えめな性格」だと言う。入学当初は積極的にチームメートに声をかけることができず、自然と話す機会も少なかった。そんな時、優しく声をかけてくれたのが現3年生らだった。「先輩たちには感謝している。自分で言うのもなんですが、(3年生に)かわいがってもらっています」と照れ笑いを浮かべ「この夏、3年生と少しでも長く(野球を)するために、チームに貢献していく」と気持ちを引き締めた。

一発勝負のトーナメントを勝ち上がっていくために反省点も忘れない。第2打席目以降は3三振。「気持ちが強くなりすぎて、もう1本打てなかった。力まずに謙虚に、大振りしないように1打席1打席に入りたい」と改善点を口にした。

夏連覇へ強い覚悟を胸に刻む。「グラウンドに出たら学年は関係ない。自分も今年で最後の気持ちを持って、3年生と同じように強い気持ちで戦っていきたい」。【佐藤究】