再起をかける弘前東が、先発全員安打&得点の5回コールド勝ちで、初戦突破を決めた。

6番成田吏希外野手(2年)が初回の2点本塁打を含む3安打4打点の大活躍。三塁打が出ればサイクル安打達成の大暴れだった。5回に打者2巡で12安打の猛攻で一挙15得点。昨秋、春は地区予選敗退を喫し、雪辱の夏に向け、好スタートを切った。次戦は15日、八戸学院光星との3回戦に挑む。

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弘前東打線が打ちに打ちまくった。21安打20得点の大勝。試合後、葛西徳一監督(36)は「初戦で出来過ぎです。しっかり1スイングで仕留めてくれたかなと思います」と選手の積極打法に目を見張った。

指揮官が言うように、初球からどんどん振っていた。初回の攻撃。先頭の工藤楓士内野手(2年)が初球打ち。右翼線を破る二塁打で出塁する。2死二、三塁とし5番寺口怜外野手(3年)も初球をはじき返し、中前へ先制の2点適時打をマークした。続く成田吏はカウント1ボールから内角真っすぐを強振。左翼芝生席へ運んだ。この試合、21安打中13安打がファーストストライクを振り抜いたものだった。

1度波に乗った打線は、もう止まらない。5-0で迎えた5回。打者2巡の19人で一挙15得点を挙げた。1死一、三塁から成田吏は左前適時打を放ち、2死三塁と再び打席が回った第4打席では左越えの適時二塁打で初戦から3安打4打点と結果を残した。「直球を待ちながら変化球にも対応できた」と納得の表情だ。常日頃の練習から意識するのが「1球で仕留める」。積み重ねてきた努力の成果を体現した。

昨秋、春と地区予選敗退を経験し、ナインはこの夏に巻き返しを誓う。「なかなか秋から勝てていない。勝ちたい思いは強いと思います」と葛西監督は言う。勝利への執念が、バットに乗り移った。次戦はシード校の八戸学院光星との3回戦を迎える。成田吏は「投手を助けられるように大事な場面で1本打ちたい」と言葉に力を宿した。春夏通じて初の甲子園出場へ、1つのヤマ場を乗り越える。【佐藤究】