八戸工大二のエース左腕、上野芳輝投手(3年)が2戦連続となる「完投劇」を演じ、チームを初の夏8強入りへ導いた。

4点リードで迎えた9回2死。最後の打者を三ゴロに打ち取り、汗をぬぐった。「打たせながら、落ち着いた投球ができた」。9回114球で5安打1失点の完投。要所で三振も奪い、9奪三振をマークした。

初回から快調に飛ばしていった。最速130キロ台の直球に4種類の変化球を織り交ぜ、6回までスコアボードに「0」を刻んだ。時折、クイックを交えるなど、相手打者の打ち気をそらした。7回には1死一、三塁のピンチを招くも、この回を最少失点で切り抜け、流れを渡さなかった。「今日は70点ぐらい。立ち上がりが良かった。クイックでタイミングも外すことができていた」と納得の表情で振り返った。

タフネス左腕に指揮官も絶大な信頼を置いている。12日の八戸北との初戦も、9回1失点完投勝ち。三上正彦監督は「(上野の投球について)ボールも低く集まっていて、言うことなし。安心して見ていました」とたたえた。次戦は18日。昨秋の東北大会4強に入った八戸工大一との準々決勝を迎える。上野は「自分の投球をしていきたい」と気持ちを引き締めた。初の4強入り、その先にある甲子園を目指し、全力で立ち向かっていく。【佐藤究】