「三度目の正直」となる大きな1勝をつかんだ。仙台南が延長戦の末、利府に3-2で競り勝った。佐藤蒼空(そら)外野手(3年)が「4番右翼」で出場し、決勝の勝ち越し適時打を含む3安打1打点で勝利を呼び込んだ。20年夏の代替大会、21年夏に敗れた相手に雪辱を果たして3回戦進出。過去最高に並ぶ8強にあと1勝と近づいた。

佐藤蒼がリベンジマッチで思いに応えた。同点の10回1死二塁。「前の打者が犠打を決めてくれたので、チームのためにもここで1本打ちたい」と気合を入れ左打席へ。2球で追い込まれたがファウルで粘り、カウント1-2からの6球目。外角直球を逆方向に運んで勝ち越し適時左二塁打となった。塁上から見たベンチは「とても喜んでいたので打って本当に良かった」と笑顔で振り返った。同裏は中川陽市郎投手(3年)が好投し無失点。14年以来の聖地を目指した実力校を接戦で振り切った。

勝ちたい思いが心に火をつけた。夏に利府と対戦するのはくしくも3年連続。佐藤蒼は、20、21年はスタンドから敗戦を見届けた。自身最後の夏。1回戦は第5シード仙台一を8回コールドで下し、2回戦の相手が利府に決まった。「一高の試合が終わってからは、(利府と対戦が決まり)先輩たちから『頑張って』とか、応援の言葉をLINEでいただいたので、やってやるぞという意識があった」。負けられない一戦で両軍最多の3安打。しっかり夏の無念を晴らした。

20日の仙台城南との3回戦に勝利すれば、19年以来の同校最高の8強入り。松木健林(たけしげ)監督(45)は「先のことを見ても仕方ないので次は城南。同じ南部地区のライバルチームでもあるので一生懸命戦いたい」と意気込んだ。試合を決めた4番も「先を見すぎると夏の大会は負けてしまうことがあるので、1戦1戦先を見ずに戦いたい」と思いは同じだ。私学との一戦も制し、先輩に並ぶ。【相沢孔志】