リベンジ達成! 八戸工大一が青森山田を3-1で下し、12年ぶりの決勝進出を果たした。昨夏準決勝、昨秋の県決勝で敗れた借りを返した。エース右腕・広野風雅投手(3年)が4安打1失点完投。初回と5回以降毎回を打者3人で終える快投で勝利を引き寄せた。八戸学院光星は弘前学院聖愛に3-2のサヨナラ勝ち。昨夏の準々決勝で敗れた悔しさを晴らした。八戸勢対決となった決勝は、22日午後1時から同球場で行われる。

悔しさを晴らす勝利に笑みがこぼれた。「最終回は疲れていたんですけど、1球1球集中して投げられました」。集中力を切らさず、最後の打者を内角のスライダーで二飛に打ち取り、声を上げてナインの元へ駆け寄った。広野は「信じられないくらいうれしい」と勝利をかみしめた。

初回1死一、三塁で先制スクイズを決めた4番舘宥丞内野手(3年)も「チームのために仕事ができたので良かったです」と笑顔を見せた。初球、外角へのボール球に「気持ちでいきました」。体勢を崩しながら前にうまくボールを転がし、気持ちで先制点をもぎ取った。2回と6回には相手の失策で得点。相手の失策を誘った勝利への執念は試合終了まで途切れなかった。

広野は、7月頭の練習試合で、投直を受け左手の甲を骨折。大会まで時間はなかったが、長谷川菊雄監督の同級生でもある藤村哲夫トレーナーが毎日のようにサポート。青森労災病院の医師も尽力してくれ、今大会に間に合った。最高のバックアップがこの日の快投を実現させた。

八戸工大二の思いも背負っている。準々決勝の八戸工大系列校対決は、八戸工大二が新型コロナウイルスの影響で出場を辞退したため八戸工大一の不戦勝。指揮官は「本当に無念だったと思う。(三上正彦)監督から『申し訳ございませんでした』と電話を頂いた。その思いを背負っている」と力を込めた。10年以来12年ぶりの聖地へ、周りの思いも背負って必ず青森代表をつかみ取る。【濱本神威】